三角関係?

 

晴翔の部屋を勢いよく開ける愛華。叫び声を上げる晴翔。

 

晴翔「びっくりしたあ…どした?」

 

愛華「…はるも嘘ついてたでしょ」

 

晴翔「な、何が?」

 

愛華「愛斗、由莉の家にいたんでしょ?」

 

晴翔「え。」

 

愛華「…昨日あったわよ」

 

晴翔「…ごめん。黙ってて」

 

愛斗と由莉は過去に色々あったので、愛華に言ったら心配するだろう。

 

と、考え、黙っていました。まあ、由莉に釘刺されたと言うのもありますが。

 

愛華「由莉に言うなって言われたんでしょ?」

 

晴翔「はい…」

 

愛華「もー…由莉大丈夫そうだったからいいけど」

 

晴翔「…でも、家で2人って…大丈夫なの、またさ…ねえ」

 

愛華「あの時はまだ中学生だったから…受け入れられなかったけど、知らない男の人と会ってるより…安心なのよ…なんか嫌だけど、愛斗なんかに」

 

晴翔まあまあ…と愛華の顔を覗き込むと

 

晴翔「…っていうか愛華、顔白くない?」

いつも真っ白ですが、それを超えて青白い。

 

愛華「…寝てないだけよ」

 

晴翔「ええ、休みなよ、授業」

 

愛華「…由莉と話したいから」

 

すごく眠たそうな愛華ですが、由莉に会いたいので、無理して学校へ。

 

 

 

学校にて

 

由莉は本当のこと言わなきゃ愛斗が悪者のままだと思い、頭の中で愛華に打ち明けるシュミレーションをしていました。

・・・

由莉「昔、愛華の家に泊まりに行った時、私が、愛斗くんに頼んだの、だから、いやじゃないし、傷ついてもいない」 

 

愛華「…その時に言ってくれればいいのに…心配したのよ?」

 

由莉「…ごめん」

 

愛華「由莉、愛斗のこと好きだったの?」

 

由莉「…」

 

そう言うことにしといたほうがいいのか、でも、また嘘つくのも…と言葉に詰まっているます。

 

愛華は困った顔をして

 

愛華「…愛斗はやめたほうがいいわよ…本気にならないから…きっと」

 

由莉「…だからいいの、本気にならないから」

 

愛華は困った顔で由莉を見ています。由莉はふと目を逸らし、

 

由莉「大丈夫、代わりだから、別の人の。愛斗くんは、知ってて一緒にいてくれるの」

 

愛華「…好きな人…他にいるの?」

由莉「…いるけど…手に入るわけないから」

 

愛華「由莉が?手に入れられない人なんているの?」

 

由莉「その人に…大事な人がいるから」

 

愛華「…あいの知ってる人?」

 

由莉「…」

 

愛華「…教えて?」

 

由莉の顔を覗き込みます。由莉は一度目を伏せて…

 

由莉「…言ったら、別れてくれる?」

 

愛華「え?」

 

愛華の瞳に、由莉の瞳が写り

 

由莉「私が好きなのは…」

 

・・・

 

なんて、難しい顔で考えていると愛華が食堂に

 

愛華「おはよう。」

 

真っ白な顔の愛華がふらりと現れました。

 

由莉「…愛華?」

 

愛華「おはよう。」

 

由莉「なんか具合悪い?」

 

愛華「…なんもない」

 

由莉「顔白いって」

 

心配する由莉の言葉を遮り、

 

愛華「ねえ、由莉。」

 

由莉「なに?」

 

愛華「由莉思い出さない?」

 

由莉「なにを?」

 

愛華「愛斗…一緒にいて…」

 

由莉「…あのこと?」

 

愛華がコクリと頷きます。

 

由莉「…ごめんずっと引かれたくて言ってなかったけど」

 

愛華「うん」

 

由莉「いやじゃないし、傷ついてもいない、今も、あの時も。」

 

愛華はふにゃっとした笑顔になり、

 

愛華「…そっか…よかっ…」

 

愛華はふらついて膝から崩れ落ちていました。

 

由莉「愛華!!!」

 

由莉は駆け寄り抱き止めます。

 

由莉「しっかりして!愛華!」

 

愛華「すーすー…」

 

由莉「…寝てる?」

 

 

私の好きな人

 

由莉は愛華を愛華の家まで運び、ベットに寝かせました。

 

愛華は由莉のことを考えて眠れなかったそう。

 

本当に愛華は自分のことを大切に思ってくれてるんだ、自分のために愛斗を怒ってくれたんだ、こんなに悩んでくれたんだ…そう思うと余計胸が苦しくなる…

 

愛華のお手伝いさんが栄養剤?なのかシロップ状の薬を持って来てくれました。

 

由莉「…愛華、起きて?飲める?」

 

ぽやぽや寝ぼけた愛華が、

 

愛華「…飲ませて」

 

由莉「…はい?」

 

愛華「いや?」

 

由莉「起きれる?」

 

愛華「…起きない」

 

由莉「溢れるって…」

 

愛華「…飲ませて~」

 

愛華は潤んだ目で顔の半分布団に埋め、こちらを見てきます。この顔に弱いんだよな…

 

由莉はしばらく悩みましたが、口にシロップを含み、愛華の顔を傾けます。

心臓の音がうるさい…唇が触れそう…

 

バーン!勢いよく愛華の部屋のドアが開きました。

 

晴翔「あいーーーーーー!!!!大丈夫…」

 

声に驚き、由莉はシロップをゴクっと飲んでしまいました。

 

目を見開いて固まっている晴翔。

 

晴翔「…へ?キス…してた?」

 

由莉「ち、違う、薬飲ませてって愛華が…ね?」

 

と愛華を見ると…すやすや寝ている

 

由莉「寝ないでよ愛華!!!」

 

晴翔はもうパニック。

 

晴翔「なんであいにキスしてるの!」

 

由莉「薬飲ませてって言われたって言ってるじゃん!」

 

晴翔「起きてからでいいだろ!」

 

由莉「早く飲ませてあげたかったの!」

 

晴翔「飲ませ方選べよ!!」

 

ギャーギャー騒ぐ晴翔にイライラし、

 

由莉「好きな子にキスしたっていいでしょ!!」

 

シーーーーーン

 

華やかな愛華の部屋も色味をなくすほど凍りついた空気。

 

由莉「…ごめん、忘れて…しかもしてないし…」

 

晴翔の肩が震えています。

 

晴翔「…まだ俺もキスしてないのにいいいいい!!!」

 

由莉「…えええええ?!」

 

このうるささの中スヤスヤ眠る愛華だけが、何も知らないのです。この、3角関係を。

 

 

続く

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