焦り?

葉子の彼氏、理玖は高校3年。バリバリの青春時代を過ごしています。

クラスで、恋愛トークに花が咲いているところ、理玖も捕まり輪の中へ。

 

男子生徒「理玖は夏樹と付き合っるの???」

 

理玖「え?夏樹?」

 

夏樹は人気俳優FUYU。正体がバレないように高校では女子高生の格好をしています。

理玖と夏樹は中学からの親友なのでとても仲良し。夏樹が仕事で学校にいないときは、常に一緒にいます。

確かに付き合ってるって疑われても仕方ない。

 

理玖「違うよ、ただの友達。」

 

女子生徒「えー!そうだったの!じゃあ今彼女いないんだ!」

 

理玖は男女から人気者で、女子生徒は嬉しそうにキャッキャしています。

 

理玖「ん?彼女はいるけど?」

 

生徒「え???」

 

男子生徒「うわー!これだからモテるやつは」

 

男子生徒「可愛い女友達に、彼女もいるとか」

 

女子生徒「でも、夏樹ちゃんとベタベタしてたら、彼女さん嫌なんじゃない?」

 

理玖「うーん…彼女、大人だし…そこは大丈夫…」

 

彼女の葉子も、夏樹の正体は知っている。

しかも、葉子は夏樹の俳優の姿のファンなので、むしろこっちが妬いている。

 

男子生徒「おい待て、彼女…大人…?」

 

理玖「え?あ、うん。大学生」

 

全生徒「ええええええ!!」

 

男子生徒「じょじょじょ女子大生!?」

 

男子生徒「お前やるなあ!」

 

女子生徒「どこで出会うの?」

 

理玖「バイト先の、お客さんで、」

 

男子生徒「わあいいなあ!んで!どうなんだよ!」

 

理玖「…どうって?」

 

男子生徒「そりゃ、大人な恋してんだろ?どこまでいった?」

 

女子生徒「やだー男子はすぐそういう話」

 

男子生徒「気になるだろ、普通、で?どうなんだよ」

 

理玖「……いや、何も」

 

男子生徒「…は?隠すなって」

 

男子生徒「黙ってるつもりか!?」

 

男子生徒「正直に吐けよ!!」

 

生徒たちに茶化されても、ほんとに何もしてないから、言えることはありません。

 

葉子とご飯を食べて、一緒に出かけて…と楽しく過ごしていたから、全然考えてなかったけど。

あれ、これってもしかしてやばい?

 

 

 

悩めるチキン

 

バイトしながらもそのことばっかり考えてしまいます。

ぼーっとしながら注文を受けています。

葉子はいろんな人と付き合ってきたから、

自分じゃ物足りないんじゃ?

って頭の片隅にあって行動に移せないのかな…

 

理玖「チキンなのかな…」

 

晴翔「あ、いや。ビーフの方です…」

 

ハッと顔を上げると、晴翔が、

 

理玖「晴翔さん!」

 

晴翔「久しぶり…ぼーっとしてたけど、何かあった?」

 

晴翔は以前、葉子の元カレと理玖が口論になった時、割ってはいって助けてくれました。

晴翔なら、きっと大人の恋愛を知っているに違いない

 

理玖「晴翔さーん、ちょっとお話聞いてほしいです」

 

晴翔「いいよ?友達、まだ来るの時間かかるらしいから」

 

 

 

理玖は休憩をとり、晴翔と2人で話をしました。

今日学校で言われたことを話しました。

 

理玖「晴翔さんは、どうやってキスとかするんですか」

 

ド直球の質問にむせる晴翔。

 

晴翔「…それは俺に聞かないほうがいいんじゃないかな…」

 

理玖「なんでですか〜!彼女さんいるじゃないですか!」

 

晴翔「ま…そうだけど」

 

晴翔は多分、今自分も似たような状況だと思いました。

愛華が可愛いすぎて、一回キスはしたけど、ほんとは手を繋ぐのもやっと。

年下の前でそんなこと言えないけど

 

晴翔「…そんな焦ることないって思うけど…」

 

理玖「だってもう半年ぐらい付き合ってるのに…葉子さんも、不安のさせちゃってるかな…とか思うんです」

 

晴翔「…半年」

 

19…もうすぐ20年一緒にいるのに最近やっとキスできた程度の自分は一体どう思われてるのか。

 

晴翔「…そういうのないと不安にさせちゃうのかな」

 

理玖「ん?」

 

晴翔「あ、いや、なんでも」

 

理玖「2人で家とかにいても…雰囲気作れないし…」

 

そういえば愛斗が、相手の視界に無理矢理入って、ニコッと笑ったら雰囲気は作れる…とか言ってたけど、そんなん参考にならん。上級者すぎ。

 

晴翔「雰囲気とか、そういうの俺もわかんないけど、あの…キスしたい…とか直接聞いても…いいんじゃない?理玖くんが年下だし…」

 

理玖「キスだけ声ちっちゃくないかったですか?」

 

晴翔「気のせい」

 

晴翔は誤魔化すようにコーヒーを啜りました。

 

晴翔「…ほんとに、スマートにやる必要はない…と思うんだけどね。」(俺が出来ないだけだけど)

 

理玖「そっか…かっこいい晴翔さんがそういうんだから、きっと大丈夫ですね!僕なりに頑張ります!」

 

ありがとうございます!と元気になって様子の理玖を見てホッとしましたが。

 

晴翔「若いなあ…一生懸命だなぁ」

 

自分の恋愛レベルは中学生未満な気がしてしょんぼり。

もうすぐ愛華も自分も20なのに…情けない。

 

晴翔「これってチキンなのかな…」

 

坂本「いや、お前食ってるのどう考えてもビーフだろ」

 

晴翔はバッと顔を上げ、

 

晴翔「おー!さかも!!」

 

自分のペースで

今日も葉子の家で会う予定の理玖。

 

葉子と理玖は意気込んでいました。

 

今日こそ、キスするぞ

 

いつも通り一緒にご飯つくって、おしゃべりして…意気込んでいましたがいつの間にか帰る時間…ああ、どうしよう

 

ソファで2人、絶妙な距離。

カチカチ、時計の針が鳴り響く

 

理玖は思い切って、葉子の肩ガシッと掴み

 

葉子「え?!何?」

 

そのまま押し倒してキスを…と思ったのに

 

葉子「ギャー!」

 

理玖「うわああああ!」

 

バランスを崩し、ソファから転げ落ちた2人。

 

葉子「いっっっっったああ」

 

理玖「葉子さん…ごめん…怪我ない?」

 

葉子「理玖くんこそ…大丈夫?」

 

葉子は理玖起こしてもう一回ソファに座りました。

気まずい2人。

理玖は恥ずかしくて、はあ…とため息をつきます。

 

理玖「…ごめんね?葉子さん…俺といて嫌になんない?」

 

葉子「え?何?毎日ハッピーパラダイスだよ?」

 

理玖「…前の彼氏とか…もっとスマートだったでしょ…全然…なんもできない…」

 

理玖がソファに体育座りをして顔を埋めます。

葉子は理玖の前に正座して。

 

 

葉子「…あんまり、言いたくないんだけど…今までは、無理矢理っていうか…物みたいにされてて、すごくね、自分が惨めに感じてたの、

だから、理玖くんが大事にしてくれてるの、すっごく嬉しいよ?」

 

理玖は顔を上げて、と小さい声で

 

理玖「…ほんと?」

 

葉子「うん。ほんと。でも、理玖くんこそ、私、歳上なのに…全然リードできないし…ガッカリしてない?…さっきもせっかくキスしてくれようとしたのに…」

 

理玖「そんなわけないじゃん!いいの、葉子さんは、なんもしなくて…俺からしたいし…失敗して…ダサいことになったけど…」

 

理玖は上目遣いで葉子を見つめ

 

理玖「いやじゃない?」

 

葉子は理玖の可愛さに射抜かれ思考回路ショート寸前。

 

葉子「いつでもウェルカムモード全開!…デス」

 

ああ、恥ずかしい。決まんないなあ…と真っ赤な顔を隠しました。

理玖はニコニコして

 

理玖「ありがとう…ねえ、こっち向いて〜葉子さん」

 

葉子「無理、キエタイ…恥ずかしい…」

 

理玖「俺だってさっきめっちゃ恥ずかしかったんだけど」

 

葉子「むーーーりーーーー」

 

理玖はもー、と葉子の腕を引っ張り、少し低い声で

 

理玖「…葉子?」

 

その声に驚き、パッと顔を上げる葉子。

え?今、呼び捨て…

 

と考える前に、理玖は二の腕をひき、そっと顔が近づき、

ちゅっ

と、短く、唇が触れました…

 

 

理玖「柔らか…」

 

葉子「え。第一声それ?」

 

気づくと葉子の二の腕を触っている理玖。

 

葉子「唇じゃなくて二の腕の感想?」

 

理玖「…あ…あはは」

 

葉子「もーーーー!ぷよぷよなの!やめて!」

 

理玖「えーいいじゃんふわふわで」

 

葉子「いやーー!」

 

と、いつのまにか追っかけこが始まってました。

なんか決まんないけど、それでも楽しいし、愛おしい。

これがいいな、自分たちは

幸せを感じる2人でした。

 

続く

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