ここから
愛華と由莉はこの頃にはとても仲良くなっており、体育大会など、行事でも一緒にいました。
校舎の日陰で写真を撮っている2人。
由莉「愛華〜写真撮ろ!」
愛華「うん」
きゃっきゃしている2人を晴翔は羨ましそうに眺めてます。
晴翔は女子とほとんど絡んでいなかったので、由莉とも話したことがほとんどなく、最近愛華と仲良い子としか見てませんでした。
愛華「あ、はる」
由莉「金山くんだ」
由莉は晴翔のことを愛華が好きすぎてやばいやつと認識しています。
晴翔「…どうも」
愛華「速かったね、はる」
晴翔「そ、そう?」
徒競走で一位になった晴翔。褒めらてとっても嬉しそう。
晴翔「女子もうすぐだよね?あい転ばないでよ」
由莉「金山くんなら飛んで助けにきそうだけど」
いつも体育の時間は身を呈してお助けしてる晴翔。
晴翔「この後リレーあるからスライディングは流石に」
愛華「転ばないように歩くわね」
由莉と晴翔は同時に吹き出し、
由莉「や、それやってみて欲しいわ」
晴翔「よーいどんで歩くのはやばいわ笑」
愛華は面白いこと言ったつもりはないので、2人とも何笑ってるのかしら?とすました顔をしていました。
晴翔「じゃ、頑張ってね」
愛華「はるも写真とりましょ?」
晴翔「え!いいの?」
由莉「撮ってあげる!」
晴翔は愛華の隣に座ろうとすると、手がチョンと触れました。
晴翔「わあ!!!」
チョンと触れただけなのにあわあわ慌てふためく晴翔。
由莉は若干引いています、まじか…と
晴翔の友達がその様子を見てて、
晴翔の友達「わーー!お前ら付き合ってんのかよお!」
ヒューヒュー!とからかわれ余計に顔が赤くなる晴翔。
晴翔「そんなんじゃねえよ!」
照れ隠しに叫びます。はっ!と愛華の方を見る晴翔。
由莉はあーあ、愛華、大丈夫かな、と愛華の様子を伺います。
愛華「そうね、付き合ってないわね」
ズバッっと言われて、ガーーンと頭を抱える晴翔。
由莉はこんなにもわかりやすいのに、愛華もよく塩対応しているなあ…前、婚約してるとか言ってなかったかな、と不憫さに同情しつつ。
他の女の子に誘惑されても、あんな慌てふためくのかな、といたずら心が芽生えました。
・
女子の徒競走が始まり
愛華は本当によーいどんでのんびり歩き、これは笑っていいものか、と、校庭内ではざわめきが起き、晴翔と由莉は大爆笑。
一方、由莉が徒競走で、足首を捻って転んでしまいました。
由莉「いててて…」
愛華がさっきの徒競走より速く駆け寄って来ました。
愛華「由莉〜」
愛華は肩を貸そうとしますが非力すぎて役に立たず。
保健室の先生は熱中症の子を見ていて手が離せなさそう。
すると、待機の席から晴翔が来て、
晴翔「保健室行くか?」
由莉「あ、ありがとう」
と、肩をかりようとしましたが、
由莉「きゃっ!」
フワッと体が浮く感覚。
晴翔は由莉を軽々お姫様抱っこし、
晴翔「保健室行ってきます」
愛華「よろしくね〜」
お姫様抱っこに校庭が沸きます。
由莉は愛華に申し訳ない気がして、モゾモゾ降りようとします。
由莉「私、歩けるよ?」
晴翔「無理したら治り遅くなるぞ」
周りの声を気にせず、スタスタと保健室に行く晴翔。
晴翔が保健室の扉を肘で開け、中に入る2人。
晴翔「なんで椅子全部埋まってる…」
長椅子にはぬいぐるみがわんさか。座るスペースがありません。
仕方なくベッドの上にフワッと降ろされます。
由莉「…ありがと…あとは私やるよ」
晴翔「ん、俺慣れてるから」
手際よく道具を持ってきて、優しい手つきで手当をします。
晴翔「痛くない?」
由莉「…大丈夫。」
晴翔は愛華への異常なほどSPっぷり見せつけてなかったら、他の女子が近付いてきそう。
そうなったら…こいつはどう動くのか。
由莉はちょっと試してみようと、晴翔の腕をグッと引っ張ります。
晴翔「うわっ」
バランスを崩した晴翔は由莉に覆いかぶさるようにベットに手をつきました。
晴翔「…何?」
由莉がじーーっと晴翔の目を見つめて
由莉「キスできる距離だね」
クスッと悪戯っぽく笑みを浮かべる由莉にため息をつく晴翔。
晴翔「…おまえと誰がするかよ」
パッと顔色1つ変えず離れます。
由莉「へー…いいね」
晴翔「…は?」
由莉「ごーかくっ」
晴翔「え、何が」
由莉「応援してあげる」
晴翔「ん?」
由莉「愛華と晴翔くん❤︎」
晴翔「…いらねーし」
わかりやすく顔が赤くなる晴翔。
ほら、戻るぞと、由莉を持ち上げる晴翔。
由莉は、道のりはまだまだ長いだろうな、と、わくわく、上機嫌。
晴翔「やべ、リレーもうすぐだ、悪いけど走るわ」
由莉「は?」
晴翔「捕まってろよ」
由莉をぎゅっとしてダッシュする晴翔。
ここまで他の女子にはなんとも思わないのか、と、心配にもなる由莉でした。
続く