同じ思考
柚葆はルンルンでだいちとデートしていました。
柚葆(だいちくんの前で何回もヤンキー喋り披露しちゃってるけど…大丈夫かな…まあいいや!)
学祭のときも、さっきと違うね…とか言われたけど…ギャップってことにしてくれてるのかな?
なんて考えていました。
そして帰り際。
柚葆「とーっても楽しかった❤︎ありがとう❤︎だいちくん!」
だいち「俺も楽しかった………よくここまで化けてるなぁ、って」
柚葆の背筋がピキッと冷たくなります。
柚葆「な、何言ってるのかなぁ??私が?化けてる??」
だいち「高校の頃からだいぶ変わってるじゃねーか」
柚葆「なぁんのことかしら?」
柚葆は高校の頃ヤンキーで、なかなか派手な格好をしていたよう…なぜ、高校の話を持ちかける…まさか知っているのか?!
だいち「…まさか、俺のこと忘れちまったとか言うんじゃねーよな?」
柚葆「…????」
全く覚えのない柚葆。え、こんな人いたっけ高校の頃。いたら菻も気付く…
だいち「…この舌ピみてもわからん?」
ベーッと舌を出すだいち。
柚葆「…ぁああああああ!!」
頭を抱え、何かを思い出した柚葆。
柚葆「隣町の高校の…郡山大智???」
だいち「そうだよ、わかんねーなんて俺の名も廃れたってか」
たしかに、長い前髪の下に隠れた目を見ると見覚えがある、
高校の頃、よくぶつかっていたヤンキーの頭に。
柚葆「よりによってあんたに見つかるなんてー!最悪ほんと、最悪。なんで西工大に行ってんのよ!ガリ勉ヤンキーだったのかよ!!」
だいち「俺強いし勉強もできんだわぁ」
柚葆「あー、もう最悪。私のウキウキ返せー!クソヤンキーメガネ!」
だいち「俺とのデートでウキウキしてたってか!そら傑作な」
柚葆「うるさいうるさい!」
だいち「じゃーまた遊ぼうな!柚葆ちゃん❤︎」
柚葆「2度と会わない」
だいち「じゃあ、柚葆ちゃんの秘密、他の子にバラしちゃおっかな?」
とぶりっ子口調で詰め寄ってくるだいち。
柚葆「てめー!汚い手使うんじゃねー!」
だいち「はっはっは、来週にでも〜」
柚葆「誰が行くかぁ!!!」
ひらひらと手を振りながら消えていっただいち。
この世で会いたくない人ナンバーワンに、そして、バレたくない人ナンバーワンに…バレてしまいました…。
次の日の食堂
柚葆が項垂れています。
菻「…柚葆忙しね、テンション上がったり下がったり」
芽衣「昨日楽しかったんじゃないの?」
柚葆「私の正体がバレた」
葉子「…正体…って」
柚葆「さーいあーくーーしかも、高校の頃の敵の頭にバレたの!!!!」
菻「あー!オコリくん?」
柚葆「そう、郡山大智…ずっと『氷』って呼んでたから気付かなかった…」
顔を覆い隠して全身でショックを表現している柚葆。
柚葆「また出かけようとか言ってるんだよ…頭おかしいよあいつ」
由莉「それは…柚葆の事気に入ってるんじゃない?」
柚葆「まさかぁ!私のどヤンキー時代を知ってて??いやいや…ないない」
由莉「そうかなぁ…」
葉子「柚葆の好みにも合ってるし…いいじゃない?」
柚葆「元ヤンはごめんだわ」
菻「自分も元ヤンのくせに」
柚葆「私は身も心もあざときゅるきゅる系女子になったのよ!」
芽衣「え?普通に柚葆かっこいいバリバリ女子じゃない?」
柚葆「私はあざとかわいい女子なのぉぉ!!!
柚葆は立ち上がって叫んでいます。
由莉「まーた楽しみ増えたね」
芽衣「ねー!」
返事をしながら由莉の服装をまじまじと見る芽衣。
芽衣「…なんか由莉いつもと違くない?」
由莉「え?」
芽衣「いっつも布少ない服着てるのに」
葉子「本当だ袖がある」
柚葆「首から鎖骨も隠れてる」
菻「肩も」
由莉「…今日肌寒いじゃん」
柚葆「真夏よ?」
葉子「感覚なくなったんか?」
柚葆「あーーー!!まさかぁ!!!新しい男かぁぁ!!!」
由莉「声がでかいです」
柚葆「私がピンチの時に!!!よくもぉぉ!!!」
由莉「いつものことじゃん…」
大騒ぎする柚葆。由莉ははぁ、とため息をつき
同じ嗜好
学校終わり、あんまり詰められなくてよかった、と一人で急いで帰ろうとしていると、
さゆり「あの、由莉さん」
どっかで聞いたことがあるような声。
由莉「…誰だっけ」
さゆり「晴翔の…大学の友達のさゆりです」
由莉「…あー、いたね、晴翔のこと見つめてた子だ」
さゆり「…」
由莉「何しに来たの、愛華には会わせないけど」
さゆりはどうしても由莉と晴翔のことが気になり、次は由莉に話を聞きにわざわざ。
さゆり「聞きたいことが…」
由莉「何、早くして」
さゆり「あの、由莉さんも、晴翔のこと、好きですよね?」
ツーッと風が通り抜け、由莉の髪を撫でます。
由莉「…は?」
さゆり「距離近いし…」
由莉は鼻で笑い、わざと煽るように
由莉「あら…そうだったらあなたはさらに出る幕ないわね、さぁ、帰った帰った」
さっさと帰ろうとする由莉に
さゆり「…でも、この前晴翔、あなたの家にいましたよね」
由莉は足を止めて、
由莉「…怖…見てたの」
さゆり「通りかかっただけです。何してたんですか?」
由莉「別に…」
さゆり「人に言えないことですか。」
詰め寄るさゆりに、ため息をつきながら
由莉「…あんたに言う必要ない」
さゆり「愛華さんのこと裏切るようなことしてるんじゃないですか?」
由莉「…あのねえ…他人のあんたに言うことじゃないし、言えないこともあるの」
さゆり「…私はただ事実を知りたい」
さゆりの言葉を遮り、
由莉「余計な詮索しないで、晴翔にアピールでもしてれば~時間の無駄でしょうけど」
手をひらひらさせ、由莉は去っていきました。
さゆり「…怪しい」
由莉には説明している時間はなかったのです。
続く