お願い
晴翔と理玖が話し終わると、丁度、待っていた友達がやって来ました。
坂本は晴翔、高校の同級生。そして、由莉の元彼。
晴翔「おー!さかも〜久しぶり」
坂本「お前さ、『と』まで言えよ」
晴翔「さかもはさかもじゃん」
晴翔ととても仲良しでした。
今でももちろん仲良し。
2人の夢は一緒に何かすごい建物を作ること、
晴翔は進学して大学の建築科、坂本はもう現場で働いています。
坂本「おまえいっつも忙しすぎるだろ、たまには構えよ」
晴翔「さかもだって仕事忙しいじゃん?」
坂本「まぁ…今特にさ、新しいミュージカルの舞台設営で…
プロデューサー細かくて結構大変」
晴翔「へー…なんてやつ?」
坂本「あれ」
坂本が指差したのは愛斗がプロデュースするFUYUの舞台。
晴翔「え、愛斗くんの舞台じゃん」
坂本「え、しってんのプロデューサーのこと」
晴翔「あいのお兄さんだよ」
坂本「…まじ?」
晴翔「本当本当、そのために今帰国してて…」
坂本「…や〜通りで似てると思ったわ…愛華ちゃんとプロデューサー…」
坂本はハッと思い立ったように身を乗り出して
坂本「っていうか、晴翔、愛華ちゃんとどうなった?まだ片想い中とか?」
晴翔「…それがさぁ」
晴翔は肘を着き、にやにやを少し隠しながら、
晴翔「最近、付き合った」
坂本「え!!!まじかよ!万年片想いがついに?!」
晴翔「おう、万年片想いは余計だけどな」
晴翔いつものトーンでコーヒーの水面を眺めながら答えました。
坂本「…んだよ、もっと喜びの声聞かせろよ」
晴翔は由莉の話を聞いて、少し複雑な気持ちを引きずっています。
それに加えて、高校生と同じようなことで悩んでるのに、少し凹んでいます。
坂本「ねぇ、」
ガタイのいい体を縮こませもぞもぞしながら、小さい声で
坂本「由莉…さん…はまだ仲良い?」
晴翔「…まあ、そりゃ」
さっきとは一転、店内に響き渡るぐらいの声量で、
坂本「晴翔!お願い!一生のお願い!」
晴翔「な、なに、やめろよ」
坂本「由莉さんに会わせて… 」
晴翔「は?」
坂本「一回でいいから!ね!お願い!」
凄い勢いで頭を下げる坂本。晴翔はため息をつき
晴翔「…一応聞いてみるけど…別れてから話してないんだろ」
坂本「…でも、もう2年ぐらいたっただろ…どうしても会いたくて…」
晴翔「…一途だなぁ…」
晴翔の方が年数的には一途であるが。
坂本「次はちゃんと上手く行くように頑張るから!めんどくさいこと言わないし…」
晴翔「うわ〜完全に狙ってるじゃん…めんどくさくなりそうだからやめようかな」
坂本「おい、お願いだよ〜頼むっ!な?」
晴翔は、ん?待てよ
由莉は愛華のこと好きだって言ってたし、男に興味ないんじゃ?
でも、昔、坂本と付き合ってる頃はいい感じだったし
や、待て待て、今、愛斗君と暮らしてるんじゃん、
…上手くいけば、由莉は愛斗君との関係も絶てるし、健全な恋愛できる、愛華も安心する…かな
晴翔「…おまえ…頑張れよ、まじで」
坂本「え、なに、改まって」
晴翔「由莉は、あいつは、昔よりややこしい事になってるからな、覚悟はいいか」
坂本「…も、ちろん」
晴翔は坂本の肩をがっしり掴み、鼓舞しました。
案内人
晴翔は由莉に『坂本と、こんどあそばない?』メッセージを送ると、
あっさり『いいよ』の返事が
そうだよな、こんだけ時間空いてたら、わだかまりとか気にならないよな
由莉は大人だし。
予定を開けるのが大変なのは晴翔。
気合いで課題を進めています。
だいち「うわぁ…もはや職人技だよね。」
晴翔「なにが?」
だいち「課題やり終える速さのオリンピックとかあれば優勝だよ」
晴翔「なんだそれ」
だいち「そんな慌てて、デートかなにか?」
晴翔「彼女の友達に会いたいって言ってる俺の友達がいて、仲介人」
だいち「へ〜…誰?」
晴翔「お前がお気に入りの柚葆さんじゃないから安心しろ」
だいち「ならよかった」
晴翔「最近どうなの」
だいち「めっちゃ避けられてる、おもろいわぁ」
晴翔「変人め」
と、会話しながらもすさまじい勢いで課題を進め、
晴翔「できた、行ってくる」
だいち「はっや」
晴翔はどうも頼まれたら断れないようで、
人の役に立ちたいとか、考えずに自然にやってあげちゃうよう。
根っからのお人好しだな。
だいちは晴翔が出した課題のデータを見てみます。
だいち「…あのスピードでこのクオリティか…ハイスペックすぎるだろ…」
異次元の頑張り屋さん。
本人は気づいてないようですね
特に今回は自分の親友と愛華の親友の問題。
あの時力になれなかった
後悔もあるよう
高校の、あの時…
続く