気づくと保健師のベットの上だった。
愛華「はる…」
心配そうな愛華、目が若干赤い。
晴翔「…あい…あれ、俺…なんで」
愛華「…過呼吸で、倒れちゃったのよ?」
晴翔「…か、こきゅう…」
体が重い…でも、まだ生きてる…
自分が倒れるなんて、自分が一番驚いてる。
坂本「めっちゃ軽かったよ?ちゃんと食ってる??」
坂本は晴翔を運んだとき、軽さに驚いた。
入院している時も、その前後も、ろくに食べてなかった…食欲がないのと、食べて飲み込む力が湧かなかった。
愛華「…疲れちゃった?」
愛華は優しく晴翔の頭を撫で、心配そうな瞳で見つめます。
晴翔「…ごめんね…あい…心配してくれてるのに…冷たくして…」
晴翔の目に力がなく、心ここに在らず…みたいな感じで。
このまま消えてしまうんじゃないか。
頭によぎってしまう。
保健室の先生「目覚めた?」
保健室の先生が顔を出します。
保健室の先生「ちょっと、金山と2人にさせてもらってもいい?」
愛華がしぶしぶ頷き、3人とも、一回外に出ました。
保健室の先生は温かいお茶を淹れて、少し喋れる?と優しく声をかけてくれました。
保健室の先生「金山くん、よく過呼吸起こす?」
晴翔「…いや、初めて…あ、最近似たかんじになることありましたけど」
保健室の先生「…私、医者じゃないから、診断とかできないから…病院、行ってみたらどうかな」
晴翔「…これ、病気なんですか…」
保健室の先生「疲れとかストレス溜まると、心の病気になりやすいから」
病気…?
晴翔の中で不安と絶望感が広がり、頭から血の気がサーッと引けていきます。
保健室の先生「そんな、暗い顔しないで?珍しいことじゃないし、思い詰めなくて大丈夫、ちゃんと向き合っていけば…」
晴翔「帰ります」
先生の言葉を遮り、
晴翔はよろけながらベットから出て、保健室を出ました。
保健室の先生「……本人に言うべきじゃなかった…わね」
伝えなきゃいけないことだけれど。
こうすべき、普通こうだ。
伝え方とタイミングは、間違ってはいけないのに。
・
保健室を出ると、3人が待っていました。
愛華は晴翔に駆け寄り、
愛華「歩けるの?」
晴翔「……」
晴翔は頭の中が過呼吸で痺れたままで、しかも、病気かもしれないという不安でごちゃごちゃで、また、涙が出そう。
よろよろとその場にしゃがみ込んでしまいました。
愛華「はる?」
愛華が肩をさすっても、返事をしてくれません。
愛華「…お迎えの車呼んだから、乗りましょ?2人も…」
由莉「ううん、2人で帰りな?」
坂本「下まで送るよ」
坂本が晴翔に肩を貸し、由莉がカバンを持ってくれました。
晴翔は消えそうな声で
晴翔「…みんなごめん…」
坂本はガッチリ晴翔を支えて。
坂本「晴翔、謝んないでよ」
由莉「…具合悪いのに、突っかかってごめん」
晴翔はふるふると首を振り、足を引きずりながら玄関に向かいました。
・
迎えの車の中で
晴翔は一回もこちを見いてくれません。
うかつに「大丈夫だよ」とも言えない。
何が起こってるか、1番不安なのは晴翔。
保健室の先生にも何か言われたのかな。
こう言うのって病院行った方がいいのかな…
この状態の晴翔に色々聞いても大丈夫なのかな…
色々考えていると、家に着いた。
晴翔「…ありがとうございます、送っていただいて」
礼儀正しく、運転手に礼を言う晴翔。
愛華「…はる、荷物持つわよ?」
晴翔「持てるよ…」
愛華「今日は、ゆっくり寝てね?」
晴翔「…うん」
結局一度も目を合わせずに晴翔は車を降りてしまった。
今は1人になりたいかな…でも…
愛華は車を降り、晴翔の腕を握りました。
晴翔は愛華の手を撫でて、すっと愛華の手を解きました。
家に入って行く晴翔の背中を見送ることしかできない
元気になったら話してくれるかな…
続く