今日の授業はしんどいな
昼休みに入るも、食欲が出ない。
寝ちゃおうかな。
坂本「おーい晴翔!購買行こうよ」
声をかけたのに、晴翔はうずくまったまま、
あれ?聞こえなかったかな、
坂本「晴翔ー!!おーい!」
割と大きい声なはず、別の生徒たちが振り返ります。
坂本「おい!晴翔?」
坂本に背中をゴシゴシさすられて、
晴翔は驚いたように起き上がります。
晴翔「…さかも、どした?」
いつも通り優しい顔で坂本に声をかけます。
坂本「あー、購買行かない?って誘っただけ」
晴翔「あ…うん、ついてく」
よいしょと、体を起こし、2人は廊下に出ました。
廊下はガヤガヤ騒がしく、また声が頭まで響いて気持ち悪い…
坂本「…晴翔具合悪い?」
晴翔「え?いや、大丈夫」
坂本「…俺にはさ、強がる必要ないだろ?具合悪いだろ?」
晴翔「…耳」
坂本「耳?」
晴翔「耳鳴り…酷くて、なんか、それで、ちょっと…吐き気が…?!?!」
言い終わる前に坂本は晴翔の腹部に腕を回します。
坂本にハグさせれてるみたいに、
晴翔「え、ちょなに?ここ廊下……うわっ!!!」
そのまま晴翔を軽々持ち上げ、肩に乗せます。
晴翔「さ、さかも?!」
坂本「保健室行くよ!!!」
晴翔「いいって!!降ろせ!!!」
廊下にいた生徒たちは不思議そうな顔をして、猛ダッシュする坂本と恥ずかしそうに担がれている晴翔を見送りました。
・
保健室の先生「耳鳴りがするの?」
晴翔「……はい」
真っ白な保健室、妙に緊張してソワソワする。
保健室の先生、まじまじしたことなかったけど、案外若い人だったんだ。
余計なこと考えられるぐらいには気分が良くなっていた。
保健室の先生「音は聞こえる?」
晴翔「…一応、でも、あの、プールにいる時、みたいな感じで、
聞こえにくいというか…」
保健室の先生「…そっかぁ…ねえ、金山くん」
晴翔「はい」
保健室の先生「最近やなこととかあった?」
晴翔「…嫌なこと…」
自分で見ないふりしていた痛いところ、言われたけど、
やっぱ、親とか先生とか、他人にそう思われてるんだ。
って思うことたくさんあって、嫌な思いした。
でも
それだけで、メンタルがやられるなんて認めたくない。
保健室の先生「そう、ストレスでね、耳鳴りとか、聞こえにくくなったりすることあるの」
晴翔「…ストレス」
保健室の先生「休養とることと、気分転換するの、意識してほしいけど、
金山くん、試合近いし、無理してたんじゃないかな?」
晴翔「あ、僕のこと知ってるんですか?」
保健室の先生「それはね、この学校のスターじゃない」
晴翔「…そう、ですか?」
保健室の先生「先生、スポーツやってきたことないけど、
少し部活、休んだ方が試合上手く行くんじゃないかな?」
晴翔「…」
保健室の先生「悪化する前に、自分の体と相談するのも、大事なことよ?」
・
保健室を出ると入り口に坂本がしゃがんでいました。
大きい体でちょこんと。
晴翔「待っててくれたの?」
坂本「…具合悪いの?」
晴翔「…ううん、大丈夫、ありがと、担ぐのはやりすぎだけど」
坂本「晴翔…」
坂本の肩をポンとたたき、教室に戻りました。
もうすぐ試合か。
続く