部屋に入るとそのままベットに倒れ込んだ。
体が鉛のように重い。
頭も動かない。
耳はキーン、とか、ガサガサ耳鳴りがする。
泥の中に沈んでいくよう。
動かなきゃ、ご飯の準備と、洗濯と…
ぴくりとも体が動かない。
少し目を閉じよう…
・
晴翔の母「ただいま〜」
仕事を終えて母が帰宅しました。
いつもなら夕飯の香りとおかえりの声がするはずなのに
しーん…
置いておる消臭剤の匂いだけがします。
玄関の近くに祖父母の部屋があり、母はノックして晴翔のことを尋ねます。
祖母がドアを開け心配そうな顔を覗かせます。
晴翔の祖母「…はるちゃん、なんか、具合悪いみたいよ」
晴翔の母「あら…まだ体調良くなってなかったのかな」
階段を上がり、晴翔の部屋をノックします。
晴翔の母「晴翔ー?大丈夫?具合悪いの?」
晴翔は布団に潜ったまま、返事をしませんでした。
晴翔の母「寝ちゃったのかな…」
裕翔「…倒れたみたいだよ…学校で」
隣の部屋から裕翔が顔を覗かせていました。
晴翔の母「え?倒れた…って?」
裕翔「あいちゃんから連絡きてて、過呼吸になったとか」
晴翔の母「過呼吸か…若い時よく起こるから、まあ、明日になったら治るわよ」
裕翔「…ほんと?」
裕翔は不安な顔で晴翔の部屋のドアを見つめます。
・
夜中。いきなり目が覚めえてしまい、また、不安が頭の中をめぐります。
どうしよう…このままの状態続いたら…
心の?脳の?病気…一生治らなかったら…
こんなダメ人間みたいな…生活…いつまで続ければ治る…?
元々、ダメな自分が露わになっただけ…?
この怒りか、悔しさか、絶望なのか、手がガタガタ震え…
ガバッと立ち上がり、ドタドタと足音を立て
ガシャン!!
机の上のものを床に叩きつけ
晴翔「…っはぁ…っはぁ…」
まだビリビリ、腕に痺れが走って気持ち悪い。
バンッ!!!
本を手に取り、思いっきり壁に投げつけ、
ガタン!!!
本棚を倒して、バラバラと本や飾ってきたものが床に散らばります。
晴翔「…っは…っは」
ドンドンドン!
部屋をノックする音。
裕翔「…にいちゃん…?何してるの?」
裕翔の震えた声。
晴翔は部屋を見渡します。
…何してんだ。
頬につー…っと涙が。
その場にペタンと座り込んで、ぽろぽろ涙を流しと放心状態。
裕翔の心配する声も、晴翔の耳には届きませんでした。
続く