朝5時。

晴翔は目が覚めた。

 

強要されてなければまだ寝ていたい。

でも自分で決めたことだから。

 

晴翔は、よく無理をする。

 

無理しないと、存在価値ない気がして、

みんなに必要とされてない気がして。

 

でも、今はちょっと違う。

 

愛華が、ここまで、晴翔を平穏な生活に導いてくれた。

…喧嘩することもあるけど。

 

あの時の…高校の時の自分に会って、話したい。

 

そう、あの時の自分に

 

発覚

 

高校最後の空手の大会が終わり、体調を崩していた晴翔。

退院後、さらに具合悪い。

 

頭の中でぐるぐる考えて、誰もいない廊下を歩いていた。

 

空手で勝ったら、チームのみんな、いや、学校のみんなが喜んだ。
テストで満点取ったら、両親が喜んだ。

人が喜ぶために、いろいろ頑張ってきたから、
期待はずれなことをして、みんなが悲しんだり、落胆する顔を見るのが怖い。

そのくせ、もう、これ以上続けるのは無理だ。

なんで最後まで頑張れない?
なんでこんなにだめなんだろ。

自分は、なんでダメなんだろ

 
期待されたのに、完全に裏切ってしまった。
熱出たごときで、勝てなくて、みんなに迷惑かけた。そりゃ、みんなの視線が冷たくなるのもわかる。
先生も、推薦、してくれる予定だったのに…
両親も、俺が空手続けるためにたくさん働いてくれたのに

全部、裏切ってしまったんだ。

認めてもらいたくて、褒められたくてやってただけ、
頑張んないと、生きてる意味がわかんなくなるから。

でも、ダメだった。
何もできないんだ…自分…

ぽつり、涙がでた。

廊下で泣いてたら…心配かける…

 

晴翔「…うっ…っ」

 

あれ、頭がざわざわ…ぐるぐるする。

苦しい、息しなきゃ、

吸って…吐いて…足りない、足りない、足りない

苦しい…涙止まんない…呼吸が荒く乱れて、手足が痺れる

晴翔「…うっ…はあっ…はあっ…っ」

脚に力が…入ら…ない

そのまま、壁にもたれ、ズズズ…と倒れた。

誰もがいない廊下で

 

どうしよう、なにこれ、苦しい、止まんない、

頭の中も痺れてきた、

怖い…怖い…怖い

晴翔「…はあっ、はあっ、はあっ」

視界が白くなって、キーーーン、耳鳴りも、手足の感覚なんて、ない。
もう…このまま………

 

愛華「はる!!!」

 

愛華だ

 

愛華「しっかりして!はる!はる!」

 

晴翔の身体を揺さぶる愛華。

 

あれ?俺、倒れてる?何で?

 

ぐちゃぐちゃな顔を愛華に見せなくない…と考えられるまでには、頭が戻ってきた。

他にも足音がバタバタと聞こえてきた。

 

…何で…こうなった?

 

続く

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