気持ちはどこに?

だいちと一緒に課題を進める晴翔。
だいちが進めてるデータを確認したくて様子をうかがいます。

 

晴翔「だいち〜」

 

だいち「あ??」

 

低い声で苛立った声の返事。
晴翔はビクッとします。

 

晴翔「…どした?」

 

だいちはハッとしました。
柚葆が合コンに行ってることにイライラして、素で返事してしまった。

大学では、普段は柔らかい感じで返事するのに。

 

名前呼んだだけなのにこんな苛立った声で返事されたら晴翔も気分が悪くなっただろう。

だいちが謝るより早く。

 

晴翔「…なんかわかんないとこあった?力になれそうなら手伝うよ」

 

だいち「…晴翔…ありがとう」

 

いいやつだな。本当に。
相手のこと、怒るんじゃなくて、まず心配できるなんて。

 

だいち「うん、わかんないことあって」

 

晴翔「何?どの辺」

 

パソコンを覗き込む晴翔の耳元に、小声で。

 

だいち「好きな子に振り向いてもらう方法がわかりませーん」

 

晴翔「…」

 

晴翔はむすーっとして黙って自分の席に座りました。

 

だいち「ごめんごめん」

 

晴翔「…それ俺に聞いても無駄だよ」

 

だいち「先輩からアドバイスほしいなーって」

 

晴翔「俺、あいしか見てないから…参考にならないよ。
だいちの方が経験多いだろ」

 

だいち「やー、今回特殊。」

 

特に否定しないだいち。
前に、晴翔も無理やり連れてかれた合コンでも、女の子と帰ってた気がするし。
女慣れしてんだ。

 

晴翔「おもしれー女?」

 

だいち「そ、おもれー女」

 

晴翔「だいちの元カノにはいないタイプだ」

 

だいち「地球上探してもいないね」

 

晴翔「それは闘いようがないね」

 

だいち「そーゆーこと」

 

晴翔「元カノ、何人ぐらいいるの」

 

だいち「そんないないって」

 

晴翔「俺よりいるだろ」

 

だいち「晴翔は元カノ0でしょ?ずっと愛華さんのこと好きだったんだから、それよりはいるかな」

 

晴翔「そうだけど…んー、5人とか?意外と」

 

だいち「からかってんのか?」

 

晴翔「真面目そうな人が意外とってこと多いじゃん?」

 

だいち「20だよ」

 

晴翔「え?」

 

だいち「は?」

 

5人が多いと思ってた晴翔。
5人が少ないと思ってただいち。

晴翔はサーッと青ざめます。

 

晴翔「…まじ?」

 

だいち「…まぁ、ね、そんな、長く付き合ってたわけじゃないし、ね、ちゃ、ちゃんと続いたのは3人ぐらい…だから!3人そう、3人だ元カノ…」

 

驚きすぎて捨てられた仔犬みたいにカタカタ震え始めてる晴翔に、申し訳なくなるだいち。

付き合うって言っても、ただ遊んでただけ。向こうが彼氏って勝手に紹介するから、まあいっかみたいな。なんかくっついてきたから食ってやった…なんて言ったら失神するな…晴翔。

 

晴翔「…ちゃらおなの?だいち」

 

だいち「…生まれてこの方真面目一本です」

 

晴翔「うそだよ…」

 

頭を抱えてびくびくする晴翔。
あんだけ物腰柔らかく意識して喋ってたから、びっくりするのも無理ないか。
だいちは晴翔に近づき、ベッと舌を出しました。

きらりと光る舌ピアス。

 

 

晴翔「……まじか」

 

だいち「途中から、高校デビューした、真面目くんにね…引いた?」

 

晴翔「引かねぇよ、だいちはだいちだし…なんか…ごめん、言わせて」

 

だいち「んーん。晴翔だし」

 

晴翔「そうなった理由、あるんでしょ?」

 

だいち「…まあ…ねー…」

 

晴翔「柚葆さん…知ってるの?女の子っぽいタイプだし…びっくりするんじゃないかな?…って」

 

晴翔は知らないのか、柚葆も元ヤンなこと。

 

だいち「…ふふふ」

 

晴翔「何笑ってんだよ」

 

だいち「いや、似たもの同士だから、大丈夫」

 

晴翔と話していたらイライラが治った気がします。
仔犬と触れ合ったような、穏やかさを感じました。
晴翔みたいに、素直になれたらな。

 

 

柚葆「あーーー早く彼氏ほしいいいいい」

 

六花大に嘆いてる人が1人。
今日も6人仲良くおしゃべり。

 

柚葆「いいなぁ、みんな彼氏できて、いいなぁいいなぁ」

 

菻「合コンいい人いなかったの?」

 

柚葆「うん…はずれだったぁ」

 

芽衣「ねぇ!そういえば最近あのメガネの人とよく遊んでるんじゃないの?!その人にすればいいじゃん!」

 

柚葆「…え、なんで知ってんの」

 

芽衣「実は見かけちゃって!映画館で!
邪魔しちゃうかなーって声かけなかったけど❤︎」

 

柚葆「…バレてたのかあ…」

 

芽衣「いい感じなんでしょぉ?ねぇねぇ!」

 

柚葆「いいや!あれは面白がってるだけなの!!私のことー!」

 

芽衣「柚葆に興味あるってことだよ!!
私はだけど、私のこと好きな人が好きだし〜、いいことじゃん!」

 

葉子「そうだよ〜真面目そうだし…そういう人好きじゃん?」

 

柚葆「あれは表面上だけっあいつはコロコロ女代えるさいてーなやつなの」

 

芽衣「さっぱりしてて良くない?ずるずる引きずってる人より、柚葆も合わなかったら別れればいいんだし」

 

柚葆「…えー…」

 

芽衣「私の代わりいるなーって思ったら、さっくり別れるもん!なんか他の人に未練ある人とかきらーい」

 

明るく笑う芽衣の隣で、冷や汗をかく菻。
いつにも増して飲み物の減りが早い。

 

 

愛華「…菻?」

 

菻「ん!何?!」

 

愛華「何かあったのかしら?」

 

菻「やぁ、何も」

 

由莉「じゃあなんでそんな慌ててんの?」

 

芽衣「まさか!奏くんとなんかあった?!」

 

菻「全然!ないよ!普通に、楽しくやってる」

 

菻は嘘つけないし、表情がもろ顔に出るので、この慌てようは、何かあったに違いない。

でも、話したく無さそうだったのであまり深く問い詰めないでおきました。

菻は、やっぱりまずいことを聞いてしまった…
これは、芽衣に言うべきなのか…井間と芽衣の板挟みになって悩んでいることは
奏意外知りません。

 

続く

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