ちゃんと、好き

井間と奏はとても仲良く、お互いのこと、なんでも知っています。
たまに、井間は隠すことありますが。
今日も井間の研究室に入り浸る奏。

 

奏「井間さーん、菻がめっちゃ可愛くてー、やばいんですけどー」

 

井間「それはそれはよかったね」

 

奏「井間さんはどうなんですかー芽衣ちゃんとー」

 

井間「楽しいよ?めっちゃ元気もらえる」

 

奏「でも、意外なんだよなぁ…井間さんが芽衣ちゃんと付き合うの」

 

井間「そう?」

 

奏「まあ、でも、好きなタイプとか、ないんでしたっけ」

 

井間「ん、んん…」

 

奏「千奈さんを超える子はいないってこと?」

 

井間「…やめろって。千奈の名前出すの」

 

奏「ってか、本当は吹っ切れてないんじゃないですか?」

 

千奈に言われたことを探してる、けど…

 

井間「…忘れるために、新しい人探すんじゃない?」

 

奏「はー、モテる男はすぐ選べるんだもん」

 

井間「そんなことないって」

 

奏「『井間さん、ほんとに私のこと好きなの?』」

 

井間「それよく言われるんだよね〜なんでかな」

 

奏「みんなに優しいからね、スマートすぎるの、井間さんは」

 

井間「彼女のこと喜ばせてあげたいだけだよ」

 

奏「あー、一回逆の立場になればいいのに、この子…俺のこと好きかな…って不安になれ」

 

井間「ひどいな」

 

奏「全部手のひらで転がしてんの?はぁ〜」

 

井間「そんなことないって…でも…芽衣ちゃんは…」

 

バサバサバサッ

本が落ちる音がしました。

 

奏「…菻?!」

 

菻が慌てて本を拾い、奏と井間の顔を見て苦笑いします。

やばい…井間の聞いてはいけない話を耳にしてしまった…

 

奏「…いつから…いた?」

 

菻「割と…序盤からぁ…」

 

菻は井間の顔を見れません。

 

井間「…あー…菻ちゃん…」

 

菻「…千奈さん…?」

 

井間の顔が引きつります。
奏はヒヤヒヤ焦って井間と菻の顔を交互にチロチロ見ます。

 

井間「…昔のことだから…今、芽衣ちゃんが好きだから…心配しないで?」

 

菻「いや…心配してるのは芽衣じゃなくて…井間さんです」

 

井間・奏「え?」

 

菻は深刻そうな顔をして、

 

菻「ぜったい、1ミリもバレちゃダメですよ、少しでも、元カノの話しちゃダメです」

 

井間「…いや…しないけど…」

 

菻「芽衣は、井間さんが、芽衣のこと好きって言ってるから付き合ってるんです、自分以外の別の人がいいならそっち追いかけな〜って、捨てられるのは…井間さんですからね?まじで秒!ばっさり」

 

井間「…そっか…ありがとう…教えてくれて…」

 

奏がやっと割って入ってきて。

 

奏「…井間さんが…振られることは…ないでしょ」

 

菻「いや、まじ、どんな人間でも忖度なし!!」

 

井間「まあまあ…芽衣ちゃんのことちゃんと大事にするから…ね?」

 

そう、ちゃんと、ちゃんと。

 

菻「あー…怖い…」

 

奏「…菻なんでここきたの?」

 

菻「そーだよ、これ!レポート家に忘れてた」

 

奏「あ、忘れてた、これ今日までのやつ!」

 

菻「と、スマホ」

 

奏「あー!ないと思ったんだ」

 

菻「私の家、自宅だと思ってんでしょ」

 

奏「そうだわ〜」

 

菻と奏の掛け合いに笑顔になる井間。

 

井間「仲良いね」

 

菻と奏は照れて下を向きます。

 

奏「これ、出してくる」

 

菻「ついてく」

 

井間「じゃあね〜」

 

一人になった井間。ごつんと壁に頭をつけます。

…だよな、

プルルル、井間に電話がかかってきます。

 

井間「…なに?どうした……また泣いてるの?……わかった、家行くから…泣かないで、千奈」

 

続く

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