スマートな彼

芽衣と井間のデートの日、
街の広場で待ち合わせ。
井間がどこにいるかはすぐわかる
なぜなら。

 

お姉さん「お兄さんかっこいいですね」

 

お姉さん「写真撮ってもらってもいいですか?一緒に」

 

絶対に綺麗なお姉さんに囲まれてる。
人が群がってるからわかりやすい。

 

芽衣「うん、うちの彼氏モテモテだなぁ」

 

と、一度、離れたところから感心して、井間のところに向かいます。

 

チャラ男「お姉さんお姉さん」

 

芽衣の肩を抱き寄せてくる見知らぬチャラ男。
流石に芽衣もびっくりします。

 

チャラ男「天気いいねぇ、ちょっと一緒に遊ぼ?」

 

芽衣「あー、ごめんね?彼氏と待ち合わせしてるから」

 

チャラ男「ちょっとだけ!ね?」

 

ちょっと触んないでよと押し返しますが、思ったより力が強いチャラ男。勘弁して〜と困っていると

 

チャラ男「いててててて!!」

 

芽衣「!!」

 

井間が無言でチャラ男の腕を捻り上げています。

 

井間「彼女に何か?」

 

チャラ男「いてぇって!悪かったよ」

 

チャラ男は逃げ出しました。

 

井間「大丈夫?芽衣ちゃん」

 

芽衣「井間さーん!めっちゃかっこいい〜!少女漫画みたい!」

 

芽衣は井間に飛びつきました。井間はしっかり受け止めます。

 

井間「大丈夫ならよかった」

 

芽衣「うん!行こっか!」

 

芽衣はぎゅっと腕を組んで、そんな芽衣に愛おしいそうに微笑みかけ2人は歩き始めました。

 

 

今日は映画館デート。シリーズものの最新版。

 

井間「なんかいる?」

 

井間は売り場を指差しました。

 

芽衣「キャラメルポップコーン食べたい!」

 

井間「飲み物は?」

 

芽衣「コーラ!」

 

井間「普通のサイズでいい?」

 

芽衣「いいよ!ありがとう!ポップコーン!ポップコーン!」

 

当たり前のように全部払ってくれる。

芽衣は毎回とても嬉しそうにはしゃいで、その顔が見たくてなんでも買ってあげたくなるのかな。

 

 

席に着き、映画が始まる前にもぐもぐ、ポップコーンを食べる芽衣。

 

芽衣「映画館のポップコーンってほんと美味しい〜」

 

井間「美味しいよね〜」

 

芽衣「全然食べてないじゃん!」

 

芽衣はポップコーンを1つ摘んで

 

芽衣「はい!」

 

井間に差し出しました。井間はにこっとしてそのポップコーンを食べました。

 

 

芽衣「美味しいでしょー!」

 

井間「美味しいね」

 

芽衣「ね!一緒に食べよ!」

 

照れもなくできるのはさすが芽衣。

井間は照れた顔もみたいな…と毎回少し期待しているのですが。

 

 

映画を見終わり、映画の話をしていると、

 

芽衣「あー!前のもみたくなっちゃったなー」

 

井間「俺持ってるよDVD」

 

芽衣「え!本当!見たい!」

 

井間「じゃ、見よっか」

 

芽衣「うん!」

 

と、元気よく返事しました
が、
ん。待てよ、と言うことは。
井間の家に、行くってこと???

もう行くって言っちゃったし、後には引けない…

 

井間「芽衣ちゃん?」

 

芽衣「ウウンナンデモナイ!」

 

芽衣は彼氏ができても長続きしたことないので、男の人の家に1人で行くなんて初めて。

まあ、なんとかするしかない!

 

と、精神統一をしていると、井間の家につきました。

 

井間「いらっしゃい」

 

芽衣「お、お邪魔しますっ」

 

井間「ははは、固い」

 

床に荷物置いて、着てた上着を適当に上着掛けに掛け、部屋に入っていく井間。
男の子の一人暮しの部屋…

 

井間「ちょっと散らかってるね、ごめんね」

 

芽衣「ぜんっぜん気にしないから」

 

井間「そう?よかった」

 

漫画がそのまま出しっぱなしなところとか、少し安心した。完璧すぎないところが見れて。

 

井間「ほら、これ前の」

 

芽衣「本当だ!えー最初からある」

 

井間「一から見ちゃう?」

 

芽衣「うん!」

 

2人でソファに腰掛けて映画を見ます。
ん、ちょっと、近い。
普通に手繋いだり、腕組んだりするじゃん。
だけど2人っきりの部屋ってなんか無駄にドキドキ…


そんな芽衣をチラッと見る井間。
するっと芽衣の手を握りました。
やばいやばい。て、手汗かきそう…

 

もう映画の内容なんて頭に入ってきません。

 

井間「新作と繋がってるねやっぱり」

 

芽衣「そうだね」

 

もう、気にしないで映画に集中しよ、いつも通り、いつも通り。

芽衣は立ち上がって、続きのDVDを取りに行きました。

 

すると井間が追ってきて、後ろから芽衣を抱きしめます。
芽衣はビクッと驚きます。

 

井間「ちょっと、休憩、しよ?」

 

芽衣「え、あ、はい、そうだね」

 

井間の手が動き、芽衣のあごにそっと触れ、顔を井間の方に向けられます。

そのまま、ゆっくりと唇を近づけ…

 

芽衣「…っ!」

 

優しく唇が重なります。
2人きりの部屋では、リップ音だけが耳に届きます。
何度も唇を重ね、

 

井間「芽衣…?」

 

耳元でいきなり呼び捨てにされ、心臓が思いっきり跳ねます。
返事しようと口を開けると、

 

芽衣「は、は…っ!!」

 

 

するっと柔らかい感触が口の中に。

 
お、大人のキスだぁーー!

全然休憩じゃなああああい!

 
っと思考回路大暴走。

 
頭の中に絡まる水の音が響きます。

 

芽衣はある感触にビクッとします。
お腹に冷たい感触が。
ちょっと待って、服に…井間の手が…入って?!

 

芽衣「す、すとーっっぷ!!!」

 

芽衣がバッと両手を広げます。
キョトンとした顔の井間。

 

井間「……手、冷たかった?」

 

芽衣「手…じゃなくて…び、びっくり…しちゃって」

 

井間「…え?」

 

芽衣「あの…そのぉ…は、恥ずかしながら…そういうの…ハジメテデ…」

 

芽衣は恥ずかしくて顔を隠しながらモゾモゾと喋りました。
井間は、目をパチパチさせた後、にやりと笑い。

 

井間「…へー…そっか。」

 

芽衣「…ソウデス」

 

井間「楽しみ」

 

芽衣「…楽しみ?」

 

芽衣をフワッと抱きしめて、頭をぽん、ぽんと撫でました。

 

井間「ねぇ」

 

芽衣「なに?」

 

井間「続き見よっか」

 

芽衣「うん!!!」

 

内心ほっとした芽衣。心の準備が…ねえ。

元カノでこんな勢いよく拒んだ人なんていなかっただろうけど…

少し申し訳なくなって大人しくソファに座る芽衣。

 

井間は何かを察して、芽衣の顔を覗き込みます。

 

井間「芽衣ちゃん?」

 

芽衣「え?な、なに?」

 

井間「俺、楽しみは、取っておくタイプだから」

 

芽衣「…?」

 

井間「だから、ゆっくり、ね?」

 

私の気持ち、察してくれたんだ。スマートな人だなあ…こりゃあモテるわ。

こんないい男に告白されて、付き合えて、ラッキー!

 

芽衣「ありがとう〜!!」

 

芽衣の方から井間に抱きつきます。
井間は嬉しそうに笑みを浮かべながら、優しく頭を撫でました。

 

ブー、鞄に入っている井間のスマホが鳴りました。

メッセージが届いているよう。

 

『元気?大学、忙しいかな?顔見せにうちおいでね』

 

続く

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