帰り道

葉子「今日はbranch寄ろうかな…
   いや、顔見るの恥ずかしいなぁ…」

 

店の前で悩んでいると

 

理玖「葉子さん!!」

 

葉子「わぁ!!!」

 

後ろから、買い出しから帰ってきた理玖に声をかけられました。

 

理玖「昨日のご飯めっっちゃ美味しかったです!!
   ほんと食べるのもったいないなぁって思ったんですけど
   あっという間に食べちゃって〜〜」
   (満開の桜のような笑顔)

 

 

葉子「そっかぁ…
   こんな喜んでくれる人いるんだなぁって…嬉しいよ…」

 

理玖「ほんとですよ?また…図々しいですけど、食べたいです…何回でも」

 

葉子「また作るよ、いっつも作りすぎちゃうから、取りに来ていいよ?」

 

理玖「え!ほんと!!!」

 

葉子「うん、あ、来ていい時、どうしよ、お店顔出す?」

 

理玖「そんな、わざわざ…あ、よかったら。

   あの、連絡先教えて大丈夫ですか?」

 

葉子(なぬぅ!DKと連絡先交換なんてしていいのか?!?!)

 

理玖「ごめんなさい!変なこと言って…」

 

葉子「いやいやいや…わたしのでよければっ」

 

理玖「あーよかった…嫌なことしちゃったかと思った…」

 

葉子「そんなことで嫌なんて思わないよ?」

 

理玖「…そっか…よかった」

 

 

少し悲しげな笑顔、理玖のそんな顔初めて見た葉子。

 

理玖「連絡いただいたら飛んでいくので!また!」

 

ぱっといつものキラキラ爽やかスマイルになった理玖。

 

店の中へ颯爽と帰って行きました。

 

葉子「悲しそうだったのは…気のせい、か。」

 

数週間後

 

理玖にご飯をあげることが習慣になり、

 

彼氏がドタキャンした時は毎回あげるようになりました。

 

彼氏にあげる回数より理玖にあげる方が断然多く、

 

いいのか悪いのか、複雑な心境な葉子。

 

なんで彼氏と別れられないのか…

 

『誰かと付き合っている』と言う安心感に依存しているんだなあ、

 

理玖「今日はなんですか?」

 

葉子「今日はね〜〜シチューだよ
   ホワイトソースから手作り」

 

理玖「すごーい!」

 

葉子「あっためて食べてね」

 

理玖「葉子さんにご飯もらえるの、僕のご褒美になってます
   本当にいつもありがとうございます!」

 

葉子(ああ。。なんでこの人がわたしの彼氏じゃないんだろう
   当たり前のことになってもいっつも嬉しそうにしてくれるなんて。。。)

 

理玖の顔を見ていると感動して泣けてくる葉子。

 

この日は本当にうるっとしてしまいます。

 

理玖「?!葉子さん???」

 

葉子「あぁ、ごめん。感動しちゃって…」

 

理玖「感動…?料理くれて、僕が感動する側じゃないですか〜〜」

 

なんて人間ができた子でしょう。

 

葉子「いや〜いい子すぎるよ…理玖くんが彼氏だったらいっぱい

   喜んでくれるんだろうなぁ…」

 

理玖「え?」

 

葉子(……はっっっ!!!!
   しまったっっっ!!!!つい口に出してしまった…)

 

理玖「…僕、彼氏になってもいいことないですよ?」

 

葉子(やばい、流石に引かれた…)

  「じょ!冗談だよ!冗談〜」

 

理玖「あ、ごめんなさい…葉子さん彼女だったら…

   僕ばっかり幸せになりすぎちゃいますよ〜〜」

 

葉子「あ。ははは…そんなこと」

 

理玖「…じゃあ、また。食べるの楽しみにしてます」

 

葉子「うん、お口に合いますように…」

 

理玖「はい」

 

帰る時の背中が、この前の悲しげな笑顔を思い出させました。

 

 

次の日の食堂

 

由莉「…今日はどうした?」

 

いつにも増して弱々しくなっている葉子

 

葉子「理玖くんに引かれた」

 

由莉「え?告った?」

 

葉子「告ってないよ、彼氏とまだ付き合ってるし」

 

由莉「まだ付き合ってるの?」

 

葉子「理玖くんが彼氏だったら幸せだろうなってついいちゃって」

 

由莉「おお、」

 

葉子「付き合ってもいいことないって遠回しに断られた

   あーーーもう引かれた、

   中途半端な関係にしてたからこんなことにいい」

 

由莉「はー、あんたも腹くくりな
   彼氏と別れて、理玖君にもう一回ちゃんと告白する!」

 

葉子「…やんわり断られてるんですけど。」

 

由莉「理玖君は、付き合ってもいいことないっていったの?」

 

葉子「うん。」

 

由莉「理玖君ならヒモになろうが何しようがいるだけで

   空気清浄機なんだから、付き合うだけで幸せでしょ?

   むしろ私が幸せにしてやるって言いなさい」

 

葉子「振られるに決まってるよ…」

 

由莉「当たって砕けたこともないやつに本当の幸せ来るわけねーんだよ」

 

 

葉子「…ダメだったら1か月慰めてね」

 

由莉「大丈夫、クソ彼氏に時間割いてないで幸せちゃんとつかみなっ」

 

愛華「私も応援するわね」

 

勇気を出して、かんばれ、葉子

 

バトル?

 

晴翔と愛華が寄り道しています。

 

愛華「今日ね、行きたいとこあるの」

 

晴翔「どこ行きたいの?」

 

愛華「こっち」

 

愛華に引っ張られcafe branchに来ました。

 

晴翔「ここよく来るんだっけ?」

 

愛華「バトルだからはる呼んだの」

 

晴翔「え?はい?戦うの?」

 

カランコロン

 

愛華はいつも通りラテアートを頼みました。

 

愛華「…」

 

理玖「…今日も…頑張ってはみたんですけど」

 

晴翔「…これは…。」

 

理玖「昔から絵が下手で…」

 

愛華「できないのに、なんで作ってくれるの?」

 

理玖「…お客様に、まあ、愛華さんしか頼みませんけど、

   喜んでいただくため…
   まあ、喜んでもらえてなかったら…」

 

愛華「嬉しいわよ、あなたが頑張ってくれるだけで嬉しいの。」

 

理玖「ほんとですか!」

 

愛華「あなたも、葉子の気持ちわかるんじゃないかしら?」

 

 

理玖「…葉子さんの?」

 

愛華「葉子、今日彼氏と会うよ。家で」

 

理玖「え?」

 

愛華「……コーヒーいただきます」

 

理玖「…は、はい…ごゆっくり」

 

理玖は不思議そうな顔をしてテーブルを離れました。

 

晴翔「…バトルってこれ?」

 

愛華(コク)

 

晴翔「葉子さんと…そっか…
   …俺きた意味あった?」

 

愛華「手」

 

晴翔「手?はい」

 

晴翔が手を差し出すとぱっと握る愛華

 

晴翔「わっ、えっ冷たっ」

 

愛華「…」

 

晴翔「緊張したの?」

 

愛華(コクッ)

 

晴翔「お節介になるかなーって心配になった?」

 

愛華(コクッ)

 

晴翔「あい、優しいね、友達大事にするし
   普段人に興味ないじゃん」

 

愛華「気になる人はふつうに話すよ?」

 

晴翔「…キニナルヒト…」

 

晴翔はある写真を思い出しました、

 

脱。

 

理玖はバイトの帰り道、愛華に言われたことを思い出しました。

 

理玖「…喜ぶことも…誰かの幸せになるのか」

 

葉子「…理玖君?どうしたの?」

 

そこに葉子が買い物から帰ってきました。気づけば葉子のアパートの前に

 

理玖「あ、いや。」

 

葉子「バイト帰り?…あ、ごめん今日はあげれるものないんだ…」

 

理玖「…」

 

葉子「…」

 

理玖、葉子「あのっ」「あっ…」

 

理玖「先、どうぞ」

 

葉子「あ、ありがとう…
   あのさ、ちょっと話できる?」

 

理玖「はい…僕も話したいことありました」

 

葉子は家に招きました。

 

理玖「玄関でいいですよ…」

 

葉子「彼氏のことは、気にしなくていいよ、別れたから」

 

理玖「…え?ごめんなさい、僕がご飯もらってるのバレて…」

 

葉子「違うよ、私の意思。よく考えたら、好きじゃなかったのかなって。」

 

理玖「そうなんですか…」

 

葉子「ただ、彼氏に尽くすいい女になりたかっただけみたい」

 

理玖「そんな、それは優しさじゃないですか、

 

葉子「ううん、自己満足、ただの。

それで、喜んでくれないとイライラして、

   尽くしてくれって頼まれてないから感謝されないのも、

   仕方ないけど」

 

理玖「…」 

 

葉子「でも、でもね、仕方ないって思ってたけど

   やっぱり、喜んでくれる人と一緒にいたいと思ったの。

   理玖くん」

 

理玖「…はい!」

 

葉子「私、理玖君のために毎日味噌汁作りたいです!
   私の彼氏の彼氏になってください!」

 

理玖「…プロポーズみたい…」

 

葉子「…告白の仕方なんて知らないもん」

 

理玖「…僕も…葉子さんと一緒にいたいです。

   でも、僕ばっかりいい思いしちゃいます…」

 

葉子「それでいいの!理玖君を幸せにするのよ!
   理玖君はもう息してるだけでいいから!!!

   それで私は嬉しいの!」

   

理玖「…僕はずるいんです。

   高校生だし…誰かと付き合っても

   いつもすぐ振られちゃうし、
   葉子さんを彼氏として幸せにする自信はないのに
   それなのに、葉子さんからの幸せ欲しがっちゃうんです」

 

葉子「…私は…好きな人のために頑張りたいから

   …もしやぴったり…なんちゃって」

 

理玖(クスッ)

  「僕も、好きな人から、何かしてもらうの、すごく嬉しいので

   ピッタリです

   僕からもちゃんとしたいですけど」

 

葉子「いや、もう理玖くんはいるだけで本当空気清浄機だからね?」

 

理玖「僕も頑張ります。

   …なにができるか…わかりませんが

   頑張ります!考えます!」

 

ピンポーン、葉子の部屋のチャイムが鳴りました。

 

葉子「え、誰だろ…」

 

恐る恐るドアに近づくと、

 

葉子「…元カレだ。」

 

理玖「え…」

 

葉子「…居留守しよ…危ないから…」

 

するとドンドンドンとドアを叩く元カレ。

 

元カレ「おい!いるのわかってるぞ!!」

 

理玖「…僕が追い返します」

 

葉子「え、ちょ」

 

理玖はドアを開けました

 

元カレ「…おいおい、俺と別れてもう次の男か。。

    ほんと尻軽な女だな」

 

葉子「やめてよ…」

 

理玖「違います、僕が葉子さんに言い寄ったんです。」

 

元カレ「は?物好きだな…

    こいつといて楽し?」  

 

理玖「はい。ずっと一緒にいたいです。

   ドタキャンなんてしないし」

 

元カレ「ははは…でもなこいつは俺がいなきゃなんもできないし、

    こんな中身ない女と付き合っても時間の無駄だぞ?」

 

理玖「じゃあなんで家に来たんですか?

   あなたの方が、寂しくなったんじゃないですか?」

 

元カレ「は?!」

 

理玖「でも、今は僕が彼氏なので、もう帰ってください!」

 

 

元カレ「生意気なんだよ!!」

 

大声を出す元カレの肩をガッと掴む大きな手。

 

 

晴翔「…あの、近所迷惑なので静かにしてもらってもいいですか?」

 

元カレ「は?誰だおまえ…」

 

晴翔「…誰って言えばいいのかな」

 

愛華「…そこ真面目に答えなくていいのよ」

 

晴翔「あ。そっか」

 

葉子「…金山くん…??」

 

元カレ「金山。ってえ?空手の?金山優斗??」

 

晴翔「あ、それ弟…(小声)」

 

元カレ「…はっなんだ腰抜けの兄かよ。

    ほっつき歩いてねーで弟のサポートでもしてろよなあ」

 

と捨て台詞を吐き、元カレは出ていきました。

 

晴翔「…はあ、大丈夫ですか?2人とも」

 

葉子「どうして…2人とも」

 

愛華「怪しい人がいて…」

 

晴翔「待ち伏せ?してました」

 

理玖「…〜ありがとうございます…

   怖かった…」

 

晴翔「無茶しないでくださいよ?」

 

愛華「帰ろ」

 

晴翔「理玖くんも、送ってくよ」

 

理玖「あ、はい、ありがとうございます

   葉子さん、また…」

 

葉子「あ、理玖くん」

 

理玖「はい?」

 

葉子「無茶しないでほしいけど…

   守ろうとしてくれてありがとう

   かっこよかった」

 

理玖「…はい」

 

理玖の顔が照れて真っ赤に

 

愛華「…行くわよりんごちゃん」

 

理玖「は、はい!おやすみなさい!」

 

晴翔「戸締まりしっかり!」

 

葉子「ありがとう!」

 

始まりから修羅場でしたが、

 

一生懸命な理玖を見られニヤニヤする葉子。

 

これから起こることを知らずに…

 

おまけ

 

理玖を送った後、

 

愛華「腰抜けじゃないよ、はる」

 

晴翔「…あいは優しいね」

 

愛華「ほんとよ」

 

晴翔「優斗が活躍してるの嬉しいし、」

 

愛華「…」(歩くのを止める)

 

晴翔「あい?」

 

愛華「こっち来て」

 

晴翔は愛華の目の前の立ちました。

 

 

愛華「…おっきい」

 

晴翔「…あ、わ、ありがとう」

 

ふと、晴翔は由莉から送られて来た井間と愛華が写った写真を思い出しました。

 

晴翔「…気になる人には優しいんだっけ…」

 

愛華「…ん?」

 

晴翔「いや、なんでも」

   (写真のこと怖くて聞けねえな。

   あいごめん、俺は腰抜けだ)

 

葉子と理玖みたいに気持ちを言い合って

関係をはっきりさせる勇気がなく

今の関係を保ちたいと思ってしまう

愛華に気になる人ができても…

 

続く

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