猫被り

だいち「楽しいねーデート」

 

柚葆「勘違いしないでよね、これはたまたまあんたがチケット持ってたから来ただけだから。」

 

柚葆とだいちも映画デート。2人は付き合っていませんが。

 

だいちが映画チケットあるけどみる?
と誘うと、文句言いながらもついてきた柚葆。

 

だいち「いいじゃんデートで」

 

柚葆「いやよ、絶対あんたなんかと付き合わない…!!! 」

 

柚葆の目に映ったのはデートしている井間と芽衣。
仲良くポップコーンを注文してます。
なんと、2人も映画デート中。同じ映画館にいるなんて…

 

柚葆「隠れて!」

 

だいちの腕を思いっきり引っ張り、柱の裏に隠れました。

 

だいち「お前、相変わらず馬鹿力だな」

 

柚葆「うるさいわよ」

 

だいち「あれ、井間さんじゃん、俺知り合いだけど」

 

柚葆「だから嫌なんだって、一緒にいるとこ見られちゃ」

 

だいちは少し不満気な顔をします。

 

だいち「…はいはい、お前もポップコーンいる?」

 

柚葆「いらないわ、あんたに借り作りたくないから」

 

だいち「映画おごるじゃん」

 

柚葆「ん?たまたま当たったんでしょ?」

 

だいち「あ、そっか」

 

本当はわざわざ買ったもの。口実作らなきゃ会ってくれないから。

芽衣と井間の姿が見えなくなったので、席に行こうと歩くと、
柚葆がよたつき転びそうになります。

 

 

柚葆「わっ!」

 

だいち「おい!」

 

だいちは柚葆を咄嗟に抱きとめました。
久しぶりのだいちの腕の感触とあの時と変わらない香水の香りにドキッとする柚葆。

 

だいち「…あぶねーな、そんな高い靴履いてるから」

 

柚葆「もー!触んないでよ!」

 

ドキッとなんてしないっ!もうしたくないっ。

 

 

映画を見終わって、

 

だいち「なんか食う?」

 

柚葆「今日これから合コンだから」

 

だいち「は?まだ行ってるの」

 

柚葆「運命の王子様に出会うまで行くわよ」

 

だいち「いーじゃねぇか、俺で、運命の王子様じゃん、再会したんだし」

 

柚葆「いやよ、あんたみたいな元ヤン王子なんて」

 

だいち「お前もだろ」

 

柚葆「変わったもん、身も心も」

 

だいち「俺も変わったし」

 

柚葆「喋り方がヤンキー抜けてないのよ。それに、彼女にお前って言う人嫌だし」

 

だいち「柚葆」

 

柚葆はビクッとしました。
いや、今の取り消し。びっくりしただけ。

 

柚葆「なによ」

 

だいち「合コン。行くな」

 

柚葆「…ふん」

 

柚葆は無視してスタスタ歩きました。

 

もうからかわないでよ。
あんたに振り回されるなんてもうごめんだから。

根っからの優しい犬系男子と付き合うんだから。
あんな仮面被った狂犬なんかと付き合うもんか。

 

続く

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