心機一転

由莉の元に舞台の打ち上げ終わりの愛斗が帰ってきました。

 

由莉「早かったね、もっと遅くなるかと…え?」

 

愛斗は少し赤くなった顔に満面の笑みを浮かべて。

愛斗「じゃーーーん!切った!」

肩ぐらいまで伸びてた髪をバッサリ。

由莉「切ったの?!」

愛斗「かっこいい?」

由莉「かっこいいけど…っっ!」

いきなりぎゅーーっと体重をかけて抱きしめてきました。

由莉「ちょっと!重い重い!」

愛斗「由莉ちゃんにかっこいいっていわれたぁ〜」

いつにも増して陽気な愛斗。
楽しい会だったんだろうな。
由莉はなんとか解いてコップにお水を注ぎ、愛斗に握らせます。

 

由莉「はい!お水!」

 

愛斗「由莉ちゃん飲ませてぇ」

 

由莉「ふざけない!はい!飲んで!」

 

愛斗「へへへ〜」

 

ゴクゴク水を飲む姿は、いつにも増して色っぽい。

 

愛斗「ありがと、由莉ちゃん」

 

ちゅっと短くほっぺにキスしました。
そのまま床にペタンと座り由莉を手招きします。
招かれるまま、由莉は愛斗の隣に座ります。

 

由莉「お疲れ様、かっこよかったよ?…白鳥…綺麗だった」

 

愛斗はさっきまであんなにふざけてたのに、とろけた目で微笑む顔は大人の色気を漂わせます。

 

 

愛斗「うん、由莉ちゃんが見に来るって思ったら、自然に踊れてた。それに、白鳥役の子が、作り上げてきてくれたから、そのままやっただけ。」

 

由莉「ほんと、綺麗で、可憐だけど…儚さもあって…あー、言葉にできない、この気持ち表現したいのに…」

 

由莉が愛斗に感想を伝えたいのに、それに見合う言葉が見つかりません。
そんな悩んで頭を抱えてる由莉を愛斗はにこにこ見ています。

 

由莉「…?なに笑ってるの」

 

愛斗「元気な声聞けたなって、久しぶりに」

 

由莉「…喋りすぎ?」

 

愛斗「ううん、いいことあった?」

 

由莉はニコニコしながら膝を抱え。

 

由莉「愛華と、仲直り、できた」

 

愛斗「ほんと?」

 

由莉「うん、友達でいれそう」

 

愛斗「よかったね、由莉ちゃん」

 

由莉は愛華からもらった言葉を思い出して、隣に愛斗がいて、これからの毎日にうきうきして愛斗にぎゅっと抱きつきました。

愛斗もるんるんしている由莉がかわいくて、頭を撫でて、由莉のおでこに頬擦りします。

 

由莉「…気持ちがちゃんと伝わるって…幸せなんだね」

 

愛斗「そうだね、幸せだね」

 

由莉「言えてよかった、受け止めてくれてよかった」

 

由莉は顔を上げ、愛斗の髪をまじまじと見ました。

 

由莉「…なんで切ったの?こんな夜に」

 

愛斗「髪?」

 

由莉「うん」

 

愛斗「…それは…切っていい頃でしょ?由莉ちゃん、僕のものになったし」

 

由莉「どゆこと…」

 

愛斗「ふふふ」

 

困った顔の由莉の頭に手を回し、キスをしました。
唇を優しく包み込むように、

すぐに愛斗と同じぐらい顔が赤く、目がとろける由莉。
にやっと満足げに笑みを浮かべ。

愛斗は由莉の上唇をぺろっと舐め、また、今度は激しく、絡ませました。

しばらく響き渡った水音が途切れると、由莉は愛斗にもたれかかります。細かく呼吸をし。

 

由莉「…っ愛斗くん…」

 

愛斗「ん?由莉ちゃん…きもちかったの?」

 

 

由莉は小さくコクっと頷きます。
しっかりと抱き寄せて、耳元で。

 

愛斗「ほしいの?」

 

由莉は愛斗の服をぎゅーっとにぎり、小さく、コクコクと頷きました。

2人はキスしたまま倒れ込み、
甘い夜に溶けて行きました。

これからもっと甘い日々が訪れることをまだ知らない由莉でした

 

続く

 

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