食堂にて

柚葆「さーて、お楽しみ事情聴取の時間でーす」
と、満面の笑み…を浮かべた柚葆と囲まれるように座っている愛華と芽衣。
柚葆「愛華!!!なんでもっと早く言わないの!!!
そのせいで合コンもあんたに視線集中してたんだから!
言ってくれたら連れてかなかったのに!!!!!!」
愛華「…聞かれてないわ…」
柚葆「今までの出会い返せー!!!!!!」
由莉「主催者私なんだけど」
柚葆「またお願いしますっ!!ってか由莉はなんで作らないのよ!花火も2人で見たんだよ?」
由莉は苦笑いして、
由莉「私はそう言うのいいから、困ってません」
柚葆「くっっ…私はモテるために変身したって言うのに…」
菻「その変身前の写真見たい人ー!!!」
と大声でスマホを掲げる菻。
柚葆「それは許さんぞ!!!」
と全力で阻止しようとする柚葆。
そこに、ふらりと奏が来ました。
奏「菻〜…あれ?さっきまで声してたのに」
由莉「そこにい…なんで隠れてるの」
菻は縮こまって机の下に隠れています。耳まで真っ赤になっています。
菻「は、ははは。なんでも」
奏「…これ大事なもんかなって…昨日忘れてた、家に」
菻「そういうのはこっそり届けてくれないかなぁ?!」
久しぶりに照れている菻を見て、みんなニヤニヤ。
由莉「ほーーー…」
芽衣「なるほどねぇ」
菻「みんな見ないでよ〜!!」
顔を隠す菻。
由莉「さぁ、あとでたーっぷり聞かせてもらおうじゃないの」
奏「…なんかごめん」
菻「許さん」

と真っ赤になっている菻を見て、柚葆は何かをハッと思い出したよう。
柚葆「…って、1番聞きたいこと流されるとこだったよ芽衣!!!」

芽衣はこの上なくニヤニヤして、
芽衣「はーい!私ハッピーなことになっちゃいました〜!」
葉子「井間さん…びっくりだったんだけど」
芽衣「そーだよね?私も愛華のこと好きなんじゃないかって思ってたもん」
愛華「…ごめんね?」
芽衣「え?謝ることないじゃん!私のために頑張ってくれたんだよね?愛華も!ありがとう!大好き!!」
愛華に飛びつく芽衣。
柚葆「噂をすれば人集りの真ん中にあんたの彼氏がいるよ」
食堂の入り口付近で女の子に囲まれている井間。笑っているも、少し困っているよう。
芽衣「あ!本当だ!おーーい!井間さーーーん!!」
その輪の中に突入していく芽衣、井間の腕を取り。


芽衣「ちょうどよかった!デートいつ行く???」
井間「う、うん、向こういこっか」
芽衣「行こ!」
大勢の女の子の輪から井間を引き抜いて去っていく芽衣。取り巻きの女子たちが不穏な雰囲気に。

その行動力に唖然とする葉子。
葉子「…メイニシカデキナイネ」
菻「カタコトになってるよ」
由莉「それにしても、愛華が協力するなんて思わなかった」
愛華「芽衣が執行学年の学祭でいい格好したかったらしいわよ」
由莉「んで、どうしても姫やってほしい愛華にお願いしてきたのか」
愛華(コク)
葉子「でも、なんで井間さんと知り合いでもなんでもないのに協力したの?」
愛華「…誰かさんに似て本気が伝わらなさそうだから…ちょっと世話焼いちゃった」
葉子「誰かさん?」
愛華「…みんな知らない人だけどね」

 

白馬の王子様?

数日後

愛華と由莉のお出かけしていました。

由莉「あ、FUYUの舞台のポスター…へー、バレエ題材なんだって」
愛華「んー」
気のない返事をする愛華。服選びに夢中。

由莉「…この服は…ちょっとやめな」


いつも由莉が愛華の服を見立て、お洒落な愛華が完成しているのですが。
今日の愛華はなぜか由莉が着るような露出多めな服を着たがります。
由莉「…それ着てたら100晴翔怒るよ」
愛華「そうなの?」
由莉「なんでまた私みたいな格好したがるの?」
愛華「………」
愛華は顔を真っ赤にしながらプクッとさせます。
愛華「…由莉みたいに素敵になりたい」

由莉「…十分素敵だと思うけど」

愛華「あい、変わってないし、ちっちゃい頃から」
由莉「え?あ…そう言うことか」
菻達の話聞いて気になったのかな。
愛華「手繋いでもすぐ離しちゃうし…」
由莉(絶対我慢してるだけだろうな…晴翔…)
由莉は愛華の頭をよしよししながら。
由莉「大丈夫だって、気にしないの、すぐそう言うことしたがる人間じゃないでしょ、あいつは」
愛華「むー…」
由莉「晴翔の服着てくっついてみるとかは?」
愛華「はるの服いっぱい家にある、やってみるわね」
由莉「…どう言う状況…?」

愛華が選んだ服を戻しながら、

由莉「それに、2人とも実家でしょ?そんな慌てることないんじゃない、家族に見られたら大変…」
2人の間に沈黙が。あ、やば、と口に手を当てる由莉。
愛華「…ごめんね」
由莉「…いや、なんで愛華が謝るの、悪いの私」
愛華「あいの躾がなってなかった」
由莉「はは、たしかに躾って感じよね、」
また2人の間に少し沈黙があり、
由莉「…元気?なの?」
愛華「知らない」
由莉「そう」
愛華「ママは会いに行ってるのかな」
由莉「ママもずっと海外?」
愛華「そうね、ずっと帰ってこない」
2人の沈黙は消え、いつも通りに楽しく買い物を終え。

由莉は他に用事があったので、愛華を先に帰らせ、街をふらふら歩いていました。
由莉「店どこだっけ…」
チャラ男1「お姉さんどこ行くの?」
由莉「友達のとこでーす」
由莉は見向きをせずケータイを見てます。
チャラ男2「ねえ、ちょっと遊ぼ?」
由莉「大丈夫でーす」
ナンパされても慣れているので大丈夫な由莉。今回の人たちはいつもよりしつこいようです。
晴翔「おい、嫌がってんだろ」
後ろから晴翔の声が、見るからに強そうな晴翔に怖気付いて男たちは去って行きました。
晴翔「大丈夫か?」
由莉「あんたヒーローみたいだね、現実にそんな人いるんだって思ったわ」
晴翔「なんだよそれ」
由莉「あんたこそこんなところで何してるの」
晴翔「あ、バイトバイト」
由莉「え、そんな忙しいのにバイトもしてるの」
晴翔「この辺の建築の会社、そこでバイトしてる」
由莉「ほー、すごいね」
晴翔「勉強になるし、金欲しいし」
由莉「おデート代ですか??」
晴翔「…あぁ、そうだよ」
由莉は耳元に近づき、

由莉「どこで何したいの?」
するとさっきまでの強そうな晴翔は消えて、真っ赤になりおどおどし始めます。
晴翔「は、は、は???」
由莉「まーだおてて繋ぐお散歩とかで精一杯か」
晴翔「なんでわかんだよ」
由莉「分かりやすのよ」
頭を掻く晴翔の肩を抱いて、
由莉「たまにはその硬っい頭ぶち壊してみなさいよ」
晴翔「いやー、まー…うんでも」
とごにょごにょ吃る晴翔。
由莉「男なんだから一発決めたれ!」
と、背中に喝をいれました。
晴翔「いっっ、はいはい。お前は大概にしろよ」
由莉「なんのこと?」
晴翔「あんま遊び歩いて、変な奴に目つけられんなよ」
由莉「へーきよへーき、ちゃんと選んでるから」
晴翔「結構まじで心配なんだけど」
由莉「…大丈夫、もう愛華も連れてかないから」
晴翔「そう言う問題じゃなくて、お前が心配なんだよ、色々…あったし」
真面目な顔で由莉をまっすぐ見る晴翔。由莉はふふっと笑い、晴翔の肩をぽんとたたき。
由莉「…あんたが愛華の彼氏でのよかったわ」
晴翔「は?」
由莉「じゃ、またね〜進展あったら根掘り葉掘りね〜」
と、ひらひら手を振りながら夜の街へ向かって行きました。
晴翔「…たくっ」

晴翔の忠告も虚しく、今日も男友達と会う由莉。外はすっかり暗くなっています。

男友達「いつものとこでいい?」
由莉「いちいち聞くなって」
男友達「はは、一応一応。」
男友達に肩を抱かれ、暗い深い街へ向かっていると。グッと誰かに手を取られます。
???「…そんな遊び、どこで覚えたの?お嬢ちゃん?」
由莉はその言葉にハッと振り返り、目を丸くして。


由莉「…嘘………。」

続く

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