花火を見ていた他の2つのカップルの様子をこっそり覗いてみましょう。

葉子と理玖

理玖はバイト終わりで来たため、花火が始まっていました。

理玖「…?!葉子さんなんで泣いてるんですか…」

理玖が到着すると大泣きの葉子。

理玖「遅れちゃってすみません…そんな悲しませてしまうなんて…」

葉子「ち、ちが、違うの〜」

理玖「なんで??」

葉子「あいはるついにちゃんと結ばれたのおお」

ケータイの柚葆の報告メッセージを見せます。

理玖「…え、愛華さんと晴翔さん?元々付き合ってたんじゃ?」

葉子「違うの〜やっとなの~」

ギャン泣きする葉子の頭を撫でる理玖。

理玖「優しいですね」

葉子「だって今まで晴翔くんめちゃめちゃ不憫だったから…やっと報われたんだああって~」

理玖「安心して花火見れますね」

しかし葉子は背が低いため、人混みの中では花火が大変見づらそう。

葉子「っく…なんで人ってこんな身長あんのよ…」

理玖は葉子の前に立ち背中を向けしゃがみます。

理玖「乗ってください」

葉子「…私、背低いけど身が詰まってるから重いよ」

理玖「なんですかそれ、果物みたい」

葉子「マジで重量級だから…」

とごちゃごちゃ言っていると無理矢理葉子をおぶりました。

葉子「りりり理玖くん!!!」

理玖「よく見えるでしょ?」

葉子「…はい」

恥ずかしさでもはや花火どころではありませんが、おぶられた背中の広さにたくましさを感じました。

葉子は理玖の肩に手を回しぎゅっとしました。

理玖は少し照れた顔をし、頭を寄せます。

花火が作る2人の影が1つになりました。

菻と奏

菻「ブリトーってやつ買ったよー!あとお肉も!」
奏「ナイス!!ラムネとかあるけど飲む?」
菻「飲む飲む!」
この2人は花より団子。花火を見ながら食べるご飯にわくわく。
菻「中世ヨーロッパ風ってよくわかんないけどオシャレなの多いね」
2人は人が少ない校舎の影に腰掛けます。
菻「ブリトーどっちがいい?」
奏「んー、チキンの方」
菻「へい、チキン一丁」
奏「ヨーロッパどこいったんだよ笑」
2人の会話はコントみたいで、キャッキャしながら食べています。
菻「愛華大丈夫かな〜…」
奏「あー、聞いた、ステージ上で告ったんだっけ?」
菻「告ったっていうか…なんでいうんだろ、晴翔が婚約者だー!って公表した?的な?」
奏「え、まじ?よかったじゃん」
菻「でも、そのあと晴翔くんめっちゃ怒ってたらしくて…」
奏「なんでだ…?」
菻「そこはあんまわからないんだけど」
ブー、菻のケータイが鳴りました。柚葆からのメッセージです。
菻「あぁぁぁぁぁ!!!」
奏「お?どした?」
菻「うまく行ったみたい!
奏「すげーなおめでとう」
菻「今宵は宴じゃ〜!」
はしゃぐ菻をみて奏もニコニコ。
奏「菻、やっぱいいやつだな」
菻「え?」
ブリトーにかぶりつきながら顔を向け、
菻「なんで?」
奏「友達のことでそんだけ心配してやれるの、いいなって」
菻「え、や、普通じゃない?かい?」
と、急に褒められて慌てる菻。ニヤニヤしながら菻の手を握る奏。
菻「えぁ?!」
と、そのまま菻の手に持ったブリトーをぱくっ。もぐもぐしながら菻を見て、
奏「ふふっすきあり」
菻「やぁ、何もう」


と、ブリトーを眺める菻に顔を近づけて…
ちゅっ…
菻「…?!」
奏「すきあり〜」
菻「わーー、もーーーー!またやられたぁー!」
恥ずかしくて無駄に動きが多くなる菻を愛おしそうに眺め、
奏「花火、綺麗だな」
菻「…そうだね」
今度は菻の肩に手を置き、向き合い、ゆっくり顔を近づけ、優しく唇を重ねました。

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