久しぶりに夏樹に会えることになった。

バイトが忙しかったみたい。
良く頑張るな、すごいな。

放課後家に帰ってシャワー浴びてから行こう。
この汗臭い制服じゃいけない。

家に入ると涼しい。エアコンついてる。晴翔いるのかな?
玄関に可愛いサンダルが、
愛華ちゃんもきてるんだ。

部屋に新しい服取り行って、階段に向かおうとする。

隣の晴翔の部屋のドアが少し開いていた。

閉めてあげようと手をかけると、

ちゅ…とリップ音が聞こえた。

裕翔「…ん」

中をチラッと見てしまった。

部屋で晴翔は膝に愛華を座らせて、なかなか濃いめのキスをしていた。

角度を変えて、お互いを求めるように。

兄弟のこんなところ、恥ずかしくてたまらないのに、
つい、目が離せなくなっていた。

晴翔の目が、とても優しく、
熱を帯びている。

気持ちいいのかな…ドキドキ…してるんだろうな…

愛華「…っはる…晴翔…」

晴翔「…愛華。」

晴翔が愛華を持ち上げ、
ギシッ
ベットに押し倒した、

裕翔「わぁ!!」

勢い余って、バンッ!!!と音を立ててドアを閉めてしまった。

晴翔「え…裕翔??」

裕翔「やべっ!」

晴翔「おい!!!裕翔!!見てたな?!」

裕翔は階段を駆け下り、風呂場に飛び込みました。

いつもより熱いシャワーを浴びました。

裕翔「……やば…」

キスするだけで、あんなに熱を帯びるのか。

好きな人だからかな。
緊張してるのかな未だに。
ドキドキどのぐらいするのかな。

未知の世界への興味。
初めてかも。

ゴシゴシ体を洗い、爽やかなTシャツを着て、晴翔に会わないようにそっと出て行きました。

夏樹の近所のおいしいお店があるそう、
現地集合で待ち合わせ。

夏樹「裕翔くん!」

裕翔「…?あ、夏樹さん、帽子深く被りすぎじゃないすっか?前見える?」

夏樹「…日焼け防止」

もうすぐ日も落ちるのに、
下手な言い訳をしてしまった。

色々バレないようにの対策。

裕翔「肌白もんね」

夏樹の口元がみえ、
裕翔はさっきの光景がフラッシュバックする。

夏樹「どうしたの?」

裕翔「い、いや、なんでも」

夏樹「いこっか〜」

裕翔「っす」

カランコロン、お店の中に入った。

ご飯の後、すぐ帰るのも名残惜しくて、公園でおしゃべり。

夜の公園は誰もいない。2人きり。

夏樹が兄の写真を見てみたいと言うので、ベンチに座り、写真を見ていました。

夏樹「へー、兄ちゃんそっくり」

裕翔「にいちゃんの方がキリッとしてない?」

夏樹「あー…確かに切れ長めだね、目が」

夏樹が写真をスクロールすると、
あかちゃんの頃の写真が
晴翔と愛華に挟まれほっぺにちゅーされてる写真。

裕翔「わ!みるな!」

夏樹「えー!見せてよもっと!」

夏樹はスマホを奪い、ガン見します。

今から想像できないぐらいもちもちの裕翔。

夏樹「隣の女の子…」

裕翔「近所のお姉ちゃんで…今兄ちゃんの彼女」

愛斗くんの妹かな、めっちゃ似てたし。

夏樹は口をむーっと尖らせながら写真を見ています。

裕翔は2人の話していたら、2人がキスしてたのを思い出してしまった。

裕翔「夏樹さんはキスしたことある?」

夏樹「え」

裕翔「や、あの…」

ポロって言葉が溢れた。

夏樹「あるよ」

役だけど、
好きな人とはしたことない。

ファーストキスも、役だったかな。

裕翔「あれって…口触れるだけでドキドキするもんなの?」

夏樹「や…別に好きな人じゃなかったらしないよ」

裕翔「好きじゃない人ともするの?」

夏樹「…じ、事故でとかあんじゃん」

裕翔「へぇ…」

裕翔は宇宙人でも見るような目をしました。

役で…とは言えない

話題を変えたくて適当に逆質問。

夏樹「裕翔くん、したことないの」

裕翔「え」

夏樹「そんなこと聞いてくるから」

裕翔「…ない」

意外な答えに食いつく夏樹。

夏樹「一回も?」

裕翔「付き合ったこともないし」

夏樹「何で?」

裕翔「何でって…好きな人できたことないから…いままで」

夏樹「いままで…って」

裕翔はそっぽ向いてしまった。

耳赤いよ。

今は、誰が好きなの

次の言葉、無理、言えない。

夏樹「…してみる?」

裕翔が驚いたようにバッとこちらを見る

裕翔「え」

夏樹「キス」

裕翔「…い、いいの?」

夏樹「減るもんじゃないし」

自分から言ったけど、
どきどきがバレたら…
気持ちがバレちゃう。

今から引けない。

裕翔の方を向き、ぎゅっと目を閉じる。

裕翔は夏樹の唇を見て、
ゆっくりぎこちなく近づいて、
触れるか触れないかのところで一瞬止まります。

顎の角度をちょっとだけ上げ、

ちゅ…

唇が重なります。

少し触れて、すぐにまた下を向く。

向かい合ったまま、

裕翔「心臓やば」

夏樹「ど、どきどきなんてしてない…!」

裕翔「いや、俺が」

2人の視線が重なる。
確かめ合う必要がないぐらい、
心臓が鳴り止まないのは
見てわかることだった。

裕翔「夏樹さん」

夏樹「な、なに?」

裕翔「送ります」

夏樹「…うん」

2人は公園を出て、ゆっくり歩きました。

続く

 

 

 

 

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