普段から鍛えている甲斐もあり、
軽い脳しんとうと左腕の捻挫だけで済んだ。

手首をぐるぐる巻きにされて不満げな裕翔。

晴翔「…大丈夫?」

裕翔「いてー」

晴翔「大会前に無茶すんなよなぁ」

裕翔「仕方ねーじゃん、ほっとけねーし」

晴翔「…かっこいいじゃん」

裕翔「…ふんっ」

晴翔「じゃあ、迎えに来るから、今日は安静だぞ」

裕翔「こなくていいし、もうくんな」

晴翔「はいはい、明日の11時な」

晴翔が出てった

それにしても、他人に無関心な裕翔が大事な体張って人助けなんて。

怪我早く良くなるようにタンパク質多めのご飯作ろうと考えながら廊下を歩いていると。

夏樹「あ、あの…」

金髪の女の子が話しかけてきた。

晴翔「はい」

夏樹「か、金山裕翔くんの病室ってこっちであってますか」

晴翔「はい、すぐそこの」

夏樹「ありがとうございます」

裕翔の高校の制服じゃないな。

他校に知り合いいたんだ…

思ったより軽傷だけど普通に痛い。

監督に怒られるかな…めんどくせー…

そういえば夏樹さんには怪我なかったかな。

コンコン、ノックする音。

晴翔、また戻ってきたのか?

ガラガラ、ドアが開くと同時に

裕翔「兄ちゃんもうくんなって…」

夏樹「……」

裕翔「…あ」

半べそをかいた夏樹が顔を覗かせていました。

裕翔「な、夏樹さん」

裕翔はベットの横の椅子に座らせました。

夏樹「ごめんなさい…お…私のせいで、こんな、大会前に…」

裕翔「…こんなんじゃ負けないから」

裕翔は余裕のある笑みを浮かべ、

裕翔「絶対、優勝するから、みてて」

ガッツポーズを見せ、夏樹に笑いかけます。

裕翔「…タオルありがと。」

夏樹「うん」

涙で潤んだ瞳のまま、裕翔に笑いかけました。

天使の笑顔。

目が離せなくて、体の中がじわっと熱くなる。

なんだ?この感覚は

夏の長い昼間もいつも間にか日が暮れ、2人をオレンジ色の夕焼けが包みました。

続く

 

 

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