昨日の仕事も疲れた…
夏樹はドラマの撮影中。
学生はしんどいな、当日仕事なかったら朝から学校。いくら前の日遅くても。
だからと言ってサボるのはプライドが許さない。
変装のおかげで乗れる電車も、朝は満員でしんどい。
次からは近くまでタクシーにしようかな。
女装をした夏樹は満員電車に揺られいると、腰あたりに違和感。
ん?なんか当たった。まあ、満員電車だし、仕方ないな。
ちょっと避けるも、その感触は確実になっていく。
完全に触られている。
げ、痴漢だ…でも、大事にしたくないし…ほっとこ、減るもんじゃないし。
と、放っておきましたが、どんどん触りかたがねちっこくなって気持ち悪い。
このままじゃちょっとやばいんじゃないか…?
振り解かなきゃ…と思いますが、体が動かない。
どうしよう…怖くなって血の気が引いてきてしまいます。
誰か助けて…
と思っているとパッとその感触がなくなります。
振り返ると、男の子が男の腕を掴んで睨みつけています。
裕翔「…おっさん、次の駅で降りろ」
男「ぼ、僕は何も…」
裕翔「嘘つくな、警察行くぞ」
男「ち、違うんです!本当に」
裕翔「まだ言い訳すんのか?」
大事になってしまう…これはまずい。
夏樹「わ、私、大丈夫です。もう、しないでくださいね…」
男の手には結婚指輪が、
裕翔「…お前家族いんの…はぁ」
裕翔が手を離すと男は次の駅で急いで降りていきました。
裕翔「…大丈夫すか」
夏樹「…はい」
痴漢って怖いんだ。
男なのに、足がすくんでしまいそう。
青ざめた顔をしているかも、
裕翔「大丈夫っすか…」
夏樹「…はい」
裕翔「その制服…次の駅で降りますよね」
夏樹「…大丈夫です」
裕翔「いや、そんな青い顔してるのほっとけませんから」
次の駅で降りて、夏樹を駅の椅子に座らせました。
青い顔なのは痴漢だけじゃないな、連日の仕事の疲れが取れてなかった。
やっぱ電車通学は無理があったか…
裕翔「…え、大丈夫すか?おーい」
助けてくれた男の子の心配そうな声…ありがとって…お礼言わなきゃ……。
・
理玖「夏樹、大丈夫?」
夏樹「…?」
目が覚めると学校の保健室。
夏樹「え、あれ?なんで」
理玖「通学中に気失ったみたいだよ?無理しすぎなんじゃない最近」
夏樹「仕事…だから仕方ないし…」
理玖「1人で倒れてたら大変なことになってたよ?たまたま親切な人が看病してくれたから良かったけど…」
夏樹「…」
理玖「別の高校の子が夏樹のこと運んでくれたって保健室の先生いってたよ?」
夏樹「そいつの名前は?聞いた?」
理玖「いや…保健室の先生も名前はわかんないと思うなぁ…」
夏樹「…ありがとってまだ言ってない…」
理玖「会えるといいね…」
また電車乗ったら会えるかな…
タクシー登校は延期になりそう。
続く